2030年02月16日

はじめに/おしらせ

はじめに

 このブログはloxia様が運営しておりました定期更新ゲーム『Seven Seas』内におきまして

 Pno162の近藤アントニオ様が設立されたコミュニティ
『潜航日誌がんばりたい!』に参加している方々の日記への感想を書くことを主な目的としたブログです。

 各種日記や登場人物、設定などの著作権はそれぞれの作者様に帰属します

 また扱われる名詞は特定の個人や団体を表すものではなく、それらとは無関係であることを宣言します。

 多くの方の作品を題材とさせていただくため、最大限の敬意と最大限の注意を払い、記事の作成を行っておりますが、ミスや不愉快な点などございましたら、管理人のほうへご連絡いただければ幸いです。



お知らせ



12/01の51回更新を持ちまして、Seven Seasが最終更新を迎えました。
loxia様におきましては、長期間の運営ありがとうございました!


これからについて
前回更新からとんでもなく間が空いてしまい申し訳ありません。
また、情況が好転してきたと書きつつも、ほとんど動けていなかった事もあり、情けない限りです。

今のところ、お一方ずつを17回〜ラストまで読みつつ、感想を書かせていただいております(お一方を最後まで、その後に次の方をという形です)
サイトも全く覗けていませんでしたので、少しずつ進めて行きたいと考えています。
このような体たらくですので、期待されている方はいらっしゃらないと思いますが、お暇なときにでものぞいていただければ嬉しいです


日記記事リンク・個別



六華さん
クーリエさん
クロニカさん
リーヴィアさん
アンテルテさん
レーヌさん
キノイさん
ネーレイスさん
アニーさん
ネリーさん・1
ネリーさん・2
ネリーさん・3
イサナさん
海底のガチャガチャさん


更新しました。4/13
アウラさん17〜35回
次回更新予定:未定、でも早いうち
取り組み中・Pno.219:アウラさん31〜ラスト
更新予定:未定




イバラシティが始まっていました。
テストプレイは参加できていなかったのですが、本プレイは参加したいなと思っています。
どこかでお会いしましたらどうぞよろしくお願いします


近況・メッセージ返信等



8/13
海底のガチャガチャさんを投稿
全体的に不思議な世界観が多かった印象です、じめっと纏わりつくような不安感や、透徹とした明るさなども
最後の挨拶はカットしてしまいましたが、限界までおつかれさまでした!

お盆ですね。死者を尋ねたり、死者を招いたり、死者を送り返したり。
人が増える時期でもあります
8/4
イサナさんを投稿

暑い日々が続きますので、どうぞお体にお気をつけください

私は水分と桃シャミを摂取しているので、今日も元気です
7/29
ネリーさんの分を投稿
文字数が多くなってしまった(引用を使いすぎた)ので三記事+追記に分けてあります

>元・七海の日記書き様へ
拍手でのコメントありがとうございます。長い間見ることができず反応が遅れてしまいもうしわけありません。
ご心配いただきありがとうございます。幸い実生活では大きな問題もなく(ファッキンホットなのとエンターキーがご臨終した程度)すごせております。ようやく梅雨明けで夏本番といった趣なので、体調面等十分に気をつけたいと考えています
また、ご提案ありがとうざいます。実際問題このままだとあと何度年末年始の挨拶をするようになるのかわかったものではありませんので、色々考えて見たいと思います
最後に、見ていただけていることが何よりの励みになります、だらしの無い現状ではありますが、何とか進んで行きたいです
7/30
>ネリーさんPL様へ
拍手でのコメントありがとうございます。
ネリーさんの回に入ってから、長い中断をはさんでしまったりと、宙吊りのような状態になってしまい申し訳ありませんでした。
確かに日記は長かったのですが、割と多くの部分を占めるアクションシーンが簡潔でわかりやすく、すらすらと読み進めていけました。
海中などの自由度が高い場所での動作は、自分自身煩雑な描写をしてしまいがちのため、参考になるなぁと読ませて頂きながら、考えておりました。
また多くのキャラクタが登場していましたが、アッチがお気に入りです。
最初はヤベー奴(ネガティヴ)でしたがそのうちヤベー奴(ポジティヴ)に変化していきました(礼讃する金髪姉妹)狂気もまた彼の人間味なのかなと
最後に、もっと上手く感想を表せたらよかったのですが、楽しんでいただけたのなら幸いです。
道はまだ長いですが、言葉を励みにさせていただき、先へと歩んで行きたいです



日記リンク・〜16回まで


第二回更新:こちら


第三回更新:こちら 追加分


第四回更新:こちら 追加分


第五回更新:こちら 追加分


第六回更新:こちら


第七回更新:前半 後半(923〜)


第八回更新:前半 後半(923〜)


第九回更新:こちら


第十回更新:
前半
後半(1020〜)


第十一回更新:
前半
後半(1020〜)


第十二回更新:こちら


第十三回更新:こちら


第十四回更新:
前半
終盤


第15回更新:
1
2


第16回更新:
1
2


posted by エルグ at 00:00| Comment(2) | 日記

2019年12月12日

アウラさん17〜(途中




17〜19日 増していく力と

フィーナ「出力を増幅するために手配してもらった光芒は目的を的確に果たしてはいるようで……」

フィオ「やっぱり危なさそうだよね。それだけの覚悟があるということでもあるんだろうけれど」

一旦暴走を止めるのに失敗すれば、この二つは私の心を破壊するまでの魔力を一気に放出するだろう。


フィーナ「自分でわかっていて、そのための備えを十分にしていても、不安は残るよね、制御に心を割いていられるあいだはいいけれど……敵を前にしてそれを維持するのは難しい」


18日目

フィオ「レッドバロンで出現した魔物が、アウラさんの世界と似たような特徴を持っていたらしくて、ちょっと嫌な印象をいだいて」

フィーナ「やられてきたことを考えればそれもそうだけど、冷静さは保っているみたい」

フィオ「びーくーるびーくーる」


19日目

フィーナ「目に見えて強くなっていく力、その一方で……」

手を握り締め、感触を確かめる。邪気で強化したターガリアリングを見る。
その度に、私は一歩また一歩と、簒奪者を灰にできる日が近づいていると実感して、笑いがこみ上げてくる。

――何か、何か変だ。変な感じがする――
……いや、そんなはずはない。敵を倒せる力に近付いているんだ。
そうだ。今、私は。とても。とてもいい気分だ。


フィオ「……いや、よくない、ぜーったいよくない」

フィーナ「いくら冷静にと呼びかけても、心から湧き上がってくるものを止めることは難しい。せめて、その恨みの炎が自らを焼かないように――」


20〜30日 全ての始まり

フィオ「荷物の整理をするアウラさんは見慣れない日記が紛れていることに気づく、中身を確認するとルイーザさんのものだとわかったけれど、そこにはある事実がかくれていて……」

アウラ
「ルイーザのものか……。そういえばあいつ、セルリア法国到着後に何かを探していたな。これだったのか」

 簒奪者に城を奪われほうほうの体での逃亡生活を送った後、安全な隣国へ到着したのを機に私とルイーザは色々荷物を整理していた。おそらくはその中で私の荷の中に紛れ込んだのだろう。

――今日も殿下の御身は無事だった。ドラゴンと対峙したが、殿下に下がってもらい1対1の形に持っていけたことでなんとか勝てた。聖陽の神に最大の感謝を。何が何でも守り通して見せる――

アウラ
「……「殿下」か。そういえば法国に着いて法王聖下と拝謁する前はまだ君主じゃなかったからな。逃亡中にドラゴンと出くわしたときはヒヤリとしたが、ルイーザが居てくれて本当に助かった……ん?」


――あと殿下可愛い。「回復魔法が得意じゃないからな、すまない……」って申し訳なさそうな表情浮かべられてたけど、衣服を破って包帯代わりにされたり懸命に氷とかを探されておられるのを見るだけで体力なんて全快する。ドラゴンとタイマン張った価値は十二分すぎる程にあった。大火傷してむしろ少し嬉しいくらいだ――


アウラ
「何を書いとるんだ、あいつは」

 途中見つけた文を見て思わずツッコミを入れる。忠誠心が鼻から出るんじゃないだろうかと心配になる。



フィーナ「厚い忠誠心は時折暴走するものだからね仕方ないね」

フィオ「かわいいのがわるいんだからね・・・」

フィーナ「今回良かったからって頻繁に(大火傷)するのはやめようね」

フィオ「と……ここじゃないんだよね」



アウラ
「まぁ、何はともあれこれ以上見るのは悪いな。とっとと閉じて、後日あいつに返すか」

 そう思って日誌を閉じようとした時。私の視線は、偶然見つけたとある文に奪われてしまった。



――ロード=クルトの御命もラルスに奪われた。もうすぐ殿下との婚約の儀も控えていらっしゃったのに――



アウラ
「――!!なんだ、今の文は!!」

 慌ててその文が書かれていたページを見直す。そしてそれが見間違いでないことを確かめて、続きを読んでいく。

――私が駆けつけた時、ラルスは自身の影から黒き槍を生み出し、それを使ってロード=クルトを串刺しにしていた。彼の表情や体勢から察するに、背後からいきなり攻撃されたのだろう。
場所は来賓室。おそらく、ドアを背に大丈夫だと話していたところに、音も無くドアを開けたラルスが……といった所か。
その後ラルスの動きを封じて逃げることとなった。その時に心に負担が無いか訪ねてみたが、殿下は「クルト?誰だそいつは」と仰られた。
私は公妃陛下と目を合わせ、その言葉が聞き間違いでないことを確かめた。
無理もない。父親を目の前で殺され、その上あれだけ親密に愛し合っていた相手の無残な死……どちらか一方でも忘れなければ、心の平穏が保てなかったのだろう。
だが今はそのことに少し感謝している。もし殿下がロード=クルトのことをお忘れにならずにその負担を受け止めようとされたならば、来賓室から無事に逃げられたか判らない。
殿下が涙一つ見せずに私達を公王一族しか知らない隠し通路まで案内されることが出来たのも、ひとえにそのお陰だろうから――


アウラ
「なんだ、一体何を書いているんだ、ルイーザは……?」

 何を書いているのか判らなかったが、困惑する私の頭に、ふっと記憶が蘇る感覚がした。そして――

アウラ
「待てよ……?クルト……クルト……。そうだ、思い出した……クルト=フェーゲライン……。北部総督フェーゲライン家の次男で……私の……」
アウラ
「私が、初めて……そして、とても愛しく想った相手……」



フィーナ「あまりのショックに欠落していた記憶、心を押しつぶしそうになる感情と共に、しっかりと過去を見据える決意をする」

フィオ「次回から、過去偏だね」

フィーナ「過去偏でのアウラさん周りの動きについて確認しておくね」


  • ラルスによる計画実行に伴うルイーザさんを遠ざけておく工作

  • ラルスへの疑いと、動き出していた計画。不意打ちのよって致命傷を負うローラントさん(父)

  • 父との別れ、クルトさん(婚約者)の死、ルイーザさん到着

  • 一瞬の攻防と逃亡。逃走経路の封鎖の結果、自ら犠牲となるソフィアさん(母)

  •  
  • アウラさんを託されたルイーザさんと、彼女自身のソフィアさんへの思い

  •  
  • 魔軍の狙い、多くの犠牲、それらを受け止めての決意

  •  
  • 逃亡中に目にすることになるソフィアさんの最期

  •  
  • 逃亡の終わりと、王としての認定。『二人の王』(アウラさんとラルス)時代

  •  
  • アウラさんの様子を心配するルイーザさんと心当たりのないアウラさん



フィオ「ルイーザさんとアウラさんそれぞれの視点から色々あったけど……」

フィーナ「とりあえずラルスは許すまじ、殺すべし」

フィオ「私利私欲で多くの命を奪ったってことだけでも相当なんだけど、ソフィアさんの一件は完全に火をつけた感あるよね」

フィーナ「あとでまた書くと思うけど、生理的な嫌悪感ってレベルの出来事だったね。あぁいうのを楽しんで? 見ていられる魔軍とも絶対に相容れないだろうなと」

フィオ「見た目が近いだけで、全然違う存在なんだなって」

フィーナ「日常でのお話だと、ルイーザさんがへんt……あふれ出る忠誠心がね」

フィオ「ヘドバンするルイーザさんもね。意外な一面。とはいえそれを利用されちゃったんだけど、ということで、細かく見ていこうか」


1.ルイーザさんに対する工作

フィーナ「魔軍による侵攻を成功させるために、いくつも工作をしてきていたわけだけど、この日この場からルイーザさんを遠ざけておく事も重要だった。
そのために疲れの見えるルイーザさんへの休暇の提案と人気バンドのチケットを用意」


フィオ「何事も夢中になっちゃうことってあるよね……」

フィーナ「結果として起きたことを考えると、音楽を聞くのがつらくなりそう」

フィオ「このとき整備士にも粉をかけてバイクを故障させてるんだよね。整備士の人は何処までしっていたのか」

フィーナ「様子から推測すると脅されていた可能性があるかなぁ、最強クラスのルイーザさんにも言い出せないレベルってことは、魔軍の侵攻も知らされていた可能性があるかも?」


2.ラルスへの疑いと真実の発覚

フィオ「ルイーザさんがライブ会場に居るころ、ローラントさんは気になる報告を受けていて、その件についてラルスを問い詰めているところ」

フィーナ「このときアウラさんもそばに居たのは結果的には良かったのかも」

フィオ「この疑いは数年前の航空機事故について。多数の王族が犠牲になって、結果としてローラントさんが王位につくことになるんだけど」

フィーナ「どうやらこの事故がラルスの手引きによるものだったらしい。それを問い詰めるとあっさり自白を始めて……」

フィオ「目的はローラントさんを王にすることで、そこにつかえる自分の地位も上がるって単純なものだったみたい。それだけのために多くの犠牲を払わせるのは狂気以外のなにものでもないけど」

フィーナ「そんなラルスは更なる地位を求めて更におおきな裏切りを始めていた。権力のため魔軍に全てを売り渡したラルスの一撃が迫る」


3.地獄と化した城内

フィオ「ラルスが狙ったのはアウラさん、どうやらこれが魔軍の計画みたいで、跡取りを完全に絶つことでここの支配を磐石にしようとしたみたい」

フィーナ「間一髪ローラントさんがかばってくれたから何とかなったものの、これが致命傷となりここで足止めをすることに。アウラさんは自分の使命を理解してその場から離脱」

フィオ「魔軍の思惑を狂わせることはできたけど、城内は既に地獄と化していた。多くの死者とアンデッドと化したかつての家臣たち」

フィーナ「そんな中、唯一の希望といえるルイーザさんも城に到着していて、心を凍らせながら進む彼女の目に入ったものは……」


4.増える犠牲と……

フィオ「目にしたのは刃に貫かれたクルトさんだった。一気に間合いをつめてラルスへと襲い掛かるルイーザさん。何とかアウラさんを助け出したものの、彼女の心は大きなキズを負ってしまったようだった」

フィーナ「目の前で大事な人がどんどん死んでいくんだからたまったものじゃないよね」

フィオ「アウラさんとソフィアさんを連れての逃亡は、また一つの選択を迫られることに……。それはアウラさんを逃がすためにどちらが犠牲になるか」

フィーナ「ここからの過酷な旅路、アウラさんのこれからを考えた結果、反対を押し切ってソフィアさんが残ることに……」

「ルイーザ=ヴァイカート。ソフィア=キストラーからの、最後のお願いです。公国の未来を……守り抜いてください。アウラ……あなたに辛い思いをさせるこんな母親を、どうか許してね……」
「………………。承知……致しました」
「わかったよ……母さん……」
「二人とも……ありがとう」


フィオ「辛い別れが多すぎる」

フィーナ「託されたものはとても重い。それでも二人は進んでいかなくちゃいけない」

フィオ「ルイーザさんにとってもソフィアさんは故郷を救ってくれた恩人だった。その思いに答えなくちゃね」


5.逃亡の最中


フィーナ「城は落ちた。今はなんとかセルリア法国へと向かわなくては」

フィオ「かなり長い旅路になるうえ、移動手段は先に押さえられてしまっていたね、整備にも手を回されていたのがここにきいてきた」

フィーナ「一年を数える過酷な逃亡。アウラさんはその最中に強さを渇望するようになる」

フィオ「まぁ目の前に謀反人がいたわけだからね……あとは、髪をバッサリ斬って、復讐の印にしたね」

フィーナ「深い深い復讐の誓い。……でもその思いを、もっと熱く、黒く、燃え上がらせる出来事が待っていた……」


6.決闘裁判


フィオ「逃亡の最中に助力を得て、ひとまず落ち着いた様子の二人。そこに入った報せはソフィアさんが裁判にかけられるというものだった」

フィーナ「裁くのは向こうのルール。決闘だというから、形式上は整っているとはいえないこともないけど」

フィオ「画面の向こう。魔軍の大御所が集まる中で、ソフィアさんは気高く宣言する。このたびの事態は簒奪であり、ラルスは正当な王ではないのだと。そして始まる決闘裁判。
アウラさんを逃がした咎で片腕を失い、義手へと変えられていたラルスは、擁護者を立てると宣言し……」


――悪夢は、そこからだった。正直、ここから先は書きたくないのだが……書かねばならない。だから、記す。奴が擁護者として指名した者。それが歩いて来た時。私は目を疑った。その『剣闘士』は……歴代公王が着る、白地に青い縁の軍服を着ていた。まさか、と思った。だが、カメラがその姿をアップで映し出したとき、『まさか』は確信へと変わったのだった。中肉中背の体格、公王の服、そして何より、体中に空いた無数の穴……ラルスが影の攻撃をしたとき、その攻撃対象の身体に開けられたものと全く同じ配置のもの。首こそ斬り落とされて失われていたが、見間違うはずがなかった。その名は――


フィーナ「出現したのはデュラハン。その生前の名は『ローラント』……心が乱れ戦うどころではないソフィアさんは一方的に嬲られ追い詰められていく」

フィオ「それでも、アウラさんについては一言も漏らさず、その誘いも拒絶する。そしてそれを見ているアウラさんは、張り裂けそうな心でそれを見届ける」

フィーナ「凄惨な最期を迎えるソフィアさん。ラルスの芝居がかった演説、沸き立つ魔軍」

フィオ「こんな相手と分かり合うことは無理だと思わせる出来事だったね……」

フィーナ「一切の遠慮なく、一切の同情なく、打ち斃せる相手だ。
復讐心で生きるのは正直おすすめできないけれど、そんなことを言っていられる様な状況じゃない」


フィオ「この一件の後、ラルスはここの管理を命じられる。一方、法国へと到着したアウラさんはもう一人の王、『正統なる白の女王』として称号を定める。公国の二人の王。簒奪者と正統な王の戦いの行方は……」

フィーナ「最後に、アウラさんは裁判の日に書かれたルイーザさんの日記を読む。そこに書かれていたのは、その日のアウラさんを見て綴られたものだった」

 ――最近何かと不安に駆られている。思い過ごしであればいいのだが、今日の事件……とりわけ、太后陛下が崩御された時の陛下の目には、なにかとても嫌なものを感じた。カーセルロック脱出以降、訓練も血気迫っている。どうか、どうか杞憂でありますように……


フィオ「こっちも不安だよね……本当に」




31〜35 愛について

31回

自分とルイーザさんの日記を読むことによって復讐の思いを強くしたアウラさん。
心中穏やかではないところにさらに悪い報せを受け取ることになる。
それはキストラー家が仕える形になっているクロセア家が実質壊滅したというものだった。
これによりアウラさんの立場は正式な『王』というものになり、その責務も彼女の両肩にのしかかることになる。
1000年以上も続く関係が絶たれたことにショックを受け、その原因となったラルスへと更なる憎悪を募らせるアウラさん、その意思を受けるかのように、危険な装具が明滅する。


フィーナ「今回はアウラさん自身に危害が及んだわけじゃないんだけれど、魔族が強く敵視しているセルリア正教の関係者はこれからも危ない目にあいそうだね」

フィオ「大きな脅威になっているわけだからね、女性であるアウラさんを逃さないようにしていたのも跡継ぎを産ませないため……みたいなところあったし」

フィーナ「魔族側としても決して小さくない恨みがあるんだろうね、ただそれを踏まえても数々の非道は許されるものじゃないけれど」

フィオ「アウラさんの心が心配だね。ずっと言ってるけど」

フィーナ「今回ので更なる責任も得ることになってしまったものね、怒りと恨みで押しつぶされてもおかしくはない」

フィオ「虚無感や悲しみも相当なものだし、マイナス方向へこれだけ振れていると……」


32回

多くのものを背負いながら、アウラさんの体は一つしかない。
探索は何とか続けているものの、隠せぬ疲労と、日々の業務に陰が差してきたころ、日記を勝手に読んでしまったことをルイーザさんに謝罪する。
ルイーザさんもアウラさんが『忘れていること』を話すべきかどうか悩んでいたため、それを知ったアウラさんが膝を折っていないことでやや安堵することになった。
だが、まだ思い出していないことを呟いた際に、魔族の襲撃を受け急遽戦闘となる。
これまでの恨みを載せた力が発動し、魔族は完全に消滅した。しかしそれは本来扱う浄化の力ではなく敵を消滅させる力であり、そのことに愕然とする二人。
アウラさんはその力を非常に心地よく感じ、ルイーザさんはその危うさを指摘し、手放すように懇願する。それは宿敵、ラルスと同じような道であると
口論となった二人。アウラさんはルイーザさんの声を聞き入れず、その巨大な力で魔族を滅ぼすのだと息巻く。
自分の言葉ではとめられないと感じたルイーザさんは、アウラさんが見落としていた日記の一節、母の最後の言葉について読み直すように告げるのだった


フィーナ「ついに……というべきかな」

フィオ「ずっと兆候は見られていたけどね。心のありかたが力の形に影響を与えることもあるんじゃないかなぁとは思っていたし」

フィーナ「忌避すべき力を心地よく感じるってのはかなり深刻な状態のように感じるね。それがどのようなものかを理解したうえで、利用してやろうって感じるのも」

フィオ「まぁ力を欲するような状況が続いていたからね……それがどんなものであっても」

フィーナ「とはいえまだ希望はある。とおもいたい」

フィオ「今回の敵は機動力のあるタイプだったからアウラさんが処理したけど、現状ルイーザさんとどっちが強いんだろうね」

フィーナ「……まぁ『そういうこと』にならなければいいけど、もしこのまま……ってことがあったらわからないからね」

フィオ「どうかお互いが不幸になることがありませんように」


33回

『力』の開放から気分は改善したものの、知らずとそれに依存しているようなアウラさん。
ルイーザさんに言われたとおり日記を再び読み直し、一度はその違いに気づけなかったが、再度精読し、さらには映像の記録を見直すことで、『母の最期の言葉』を知ることになる。
それは『愛を忘れないで』というものだった。それをルイーザさんだけがしっかりと受け取っていたことに嫉妬の感情を一瞬抱き、その上でルイーザさんがこれを読ませた理由を理解する。
しかしアウラさんは限界を迎えていた。これまでどおりに力を振るうことがかなわず、改めてがんばろうとする決意も、王としての自分をこれまで支えてきたものも、彼女を動かす力にはならず。
ただラルスに対する憎悪のみが原動力となっていて、その憎悪のままに力を振るえたことでむしろ安堵していた。
その現実に困惑し一人慟哭するアウラさん。ルイーザさんにはありのままを告げ、憎悪のまま突き進む自分を認めさせようとする。


フィーナ「言葉の端々から引きずられているような印象があるね」

フィオ「口論になったときも荒々しかったけれど、そういう影響もあるのかも」

フィーナ「でも今回の日記の感じだと、もう精神的に参っていて、そこにつけこまれた……っていうか」

フィオ「つけこまれたっていうと、もう負けたみたいに聞こえるからやめて」

フィーナ「……実際瀬戸際だとおもうんだよね。間違った方向へ進んでいると自覚しても、それ以外にないって決めちゃってると……」

フィオ「期待や願いも重圧にしか感じないみたいだからねぇ……さてどうするのか」


34回

アウラさんは悲痛な決意をもってルイーザさんに自分の現状を吐露し、告げる。
「もう……私に期待なんてするな。私は……苦しいんだよ。お前の目を見るのが……」
裏切りになると理解した言葉。だけれどそれを受け取ったルイーザさんはそれでもなおアウラさんを支えたいといって、アウラさんが動けなくなった要因を語っていく。
それは崩れ落ちそうな自分の心を、自分の役割と立場で縛りつけ何とかつないできているというものだった。
自分のことを理解していることを驚くアウラさん、それでも憎悪で動くしかないことには変わりないと叫びを上げる。
そんなアウラさんを抱きしめ、自分の気持ちをしっかりと語るルイーザさん。その言葉にアウラさんの心も癒されていく。
改めて歩み始める二人。そして限界化する従者


フィーナ「いやはや本当につらそうだった」

フィオ「もうアウラさん自身は一人で落ちていく覚悟だっただろうからねぇ」

フィーナ「ルイーザさんが支えるって言っても、それはルイーザさんを辛くするだけだって否定しようとしてたしね」

フィオ「だけれど、ルイーザさんの深い愛で救われたわけだ、まさしく愛を忘れないで」

フィーナ「イイハナシダナー」

フィオ「でも最後は」

フィーナ「イイハナシダッタノニナー」

フィオ「あのときの受賞コメントがまた出てきたのはびっくりした」

フィーナ「……本当の忠誠と、本当の(変態的)愛情が両立するとこんなに強いんだなって」

フィオ「ちょっと茶化し気味ではあるけれど大きなターニングポイントだったと思う。もちろんまだ過大は山盛りではあるんだけれど」


35回

再出発したアウラさん。先日のようなことがあったとはいえ、扱う装備は邪な力を頼っているものもあり、油断はできなかった。
この日も日課となっている強化を行ったが、ルイーザさんが尋ねてきた際に見たこともない光を発していることに気がつく。
そのまま感覚の赴くまま、アウラさんが装備した状態でルイーザさんが触れると、黒い光が現れ、それが一瞬にして白いものに変化した。
理解が追いつかないアウラさんに意味深なことを言うルイーザさん。その現象の正体は邪気の力をその量のまま、聖なる力に変換する奇跡『聖転』だった


フィーナ「出たなこの前もあやしい輝きを放っていたアイテム! とおもったら」

フィオ「いやぁ……愛の力ってすごいですね」

フィーナ「ルイーザさんによる底なしの主従愛は天使公認だということが発覚した」

フィオ「実際一つの心配事だったんだよね、あのリングとか」

フィーナ「心は克服したといっても、いろいろあるからねぇ、ルイーザさんだって不死ってわけじゃないし……」

フィオ「そういう不穏なことはやめよう」

フィーナ「二人の絆が深ければ深いほど、心配になるんだよねぇ……」

posted by エルグ at 17:23| Comment(0) | 日記

2019年08月13日

海底のガチャガチャさん 17〜




17回:おどる王冠・2
フィーナ「7回の日記の続きになるね。ここまでのお話は
人の住む家で静かにしていた『わたし』なんだけど、おおきなネズミが入り込んだことで家主は激怒、あらゆるものを投げつけてそれを殺そうとするけれど失敗しちゃう。

その際に横で傍観していた『わたし』はネズミに咥えられて噛み砕かれると思ったものの、そのまま家族の巣まで連れて行かれることになった。

おおきなネズミを囲む大家族、そしておおきなネズミ=ホワントロは威厳たっぷりに宝を持ち帰ったと自慢した
でも反応は良くなかった。どうやら『わたし』は豆のような見た目をしているみたいで小ばかにしたようにみんな散り散りになっていく。

ただ一匹、まだ赤ん坊のネズミを除いて……

というのがここまでのおはなしかな」


フィオ「ここからは巣に連れて行かれてからの『わたし』の話になるね。赤ん坊ネズミに大層気に入られてみたい」


かくしてわたしはネズミの一団の異邦者となった。

毛もはえそろわぬうまれたばかりの、ホワントロ16番目の息子、
グリストロという名の子ネズミは、どういうわけだかわたしをたいそう気きにいった。
ちょうど母ネズミが赤子をかかえるように、
グリストロはわたしをだきかかえることをのぞみ、ひきはなされれば泣きわめいた。

ほかのネズミたちは、グリストロが歯がためのためにわたしをはみ、
そしていつかかじりつきすっかりたべてしまうのだろうとおもって好きにさせていた。
しかし、まあ、その歯が固くなっても、グリストロがわたしにいちげきをくらわせることはないのだった。
それどころか、グリストロはじぶんのけがわで、わたしをぴかぴかにみがくほうをこのんだ。



フィーナ「たいしたものじゃないと思われているから適当な扱いだけど、グリストロ君だけは違ったわけだ」

フィオ「い、一応お宝だから……」

フィーナ「実際本人?はお宝だと信じていたみたいで、ある日『使い方がわかった!』と叫んである行動に」


家人のねしずまった真夜中、グリストロはとたとたとたっと
すばやくネズミの穴からいちばんちかい植木鉢にのぼりあがった。
そのうえ木の根元にこんもりと土をはねあげあなをほり、そして、わたしをそのなかに横たえたのだ。
視界に土がかぶされる。グリストロが前足で天井をならす感触があった。

ネズミたちは雨もりのしたにはっぱを置いて水をためていたが、
グリストロはどうやらそれをすすってほおぶくろにため、わたしにはきかけたらしい。
そしてネズのなかまたちに朗々とかたりだした。

「いいかみんな、これを毎日、一日一夜くりかえすんだ。」

「なんのいみがある?」

「とにかくやるんだ、やるったらやるんだ!」

ネズミのわかものたちはぶつくさいったようだったが、
そうであれ、どうであれ、おそらくグリストロはひとり、
来る日来る日本当にわたしに水を吐きかけた。

ふときがつくと、わたしのからだに異変がおきていた。
わたしには、みたこともないほそながい感覚器がはえていた。
そのほそながいなにかをゆっくりと土の奥深くへもぐらせてゆくと
わたしは、わたしですら思ってもみなかったなにかが、ぽっと体の芯にわきあがるのを体験した。



フィオ「あれこれって……種?」

フィーナ「おおきな視点で見るとそれっぽいけど、本人達から見るとどこか不思議な感じがするね」

フィオ「まだどうだとはいえないか」

フィーナ「それにしてもネズミの成長は早いね、出会ってから二十日ぐらいとのことだったけど、もう大人っぽい」

フィオ「命自体が短いからねぇ……」


あしをのばすに夢中になっていたわたしに、
グリストロのどっしりとした声がきこえてきた。
わたしには、ほんのついさっきまであかんぼうであったようにおもわれ
まばたきのまえには、わかものであったグリストロも、すでに立派なおとなのネズミだ。

「ほどなくホワントロは老いて死ぬ。わたしもいつか老いて死ぬ。
 わたしはきっと、あれの横に、父をうめるぞ。
 そしておまえたち、わたしをあれの横によこたえてくれ。
 そしてどうかわすれるんじゃあないぞ、あれに水をくべるんだ」

「つづけろ、つづけるんだ。わたしにはわかるんだ
 あれが…なんであるのか解き明かすとき、わたしたちネズミ族は永遠のものを知ると!」




フィーナ「『わたし』は比較的長命のように感じるし、周りの変化も凄く早いように思えるかも」

フィオ「埋葬のようなものなのかな……? だとしたらコレを続けた先にどんな景色がみえるというのか」

フィーナ「たいしたことじゃないのかもしれない、でもネズミという視点で見たときそれはきっと大きなことなんじゃないかなと思う」




18回:ゆめみる万華鏡・2

フィオ「10回の続き。 ここまでのおはなしは

楽しげな夢を見た『わたし』だったけど、特に何事もなく眼を覚ます、その日はやけに静かで……何か、全てが去ってしまった後のような感覚があったみたい

そしてそのまま部屋を降りて食卓へ向かうのだけれど、いつもなら並んでいるはずの朝ごはんがなくて、家族も見当たらない……とおもったら、どうにも料理途中といった風情のおかあさんがキッチンで眠っていた

そんな一瞬を切り取ったような眠りはどうやら『わたし』以外に訪れているようで、おとうさんやあかちゃんはもちろん、パン屋やゴミをあさるカラス、ましてや信号機までその色を変えることなく眠っている

そんな中で赤ちゃんに触れてみると、確かに熱は感じるもののその心臓が動いている様子はない、一体何が……

といった感じかな。ふんわりした文章なのだけれど、不気味さが際立つね」


フィーナ「ただ一人目覚めた『わたし』は色んなことを試してみることに……」


私はねまきのまま、顔もあらわないでおもてへとびだしました!
冬の朝の空気を、ほほのうぶげの先までいっぱいにあびると
解放感がとぎすまされていくってわかったのです。
私はおそろしげにときめいて、まるで――ただ、こうすることで
人にトイレをしていてるところを見せるようないけないことをしている気分がしていました。

今朝は、みんな目を覚まさなかった。
私はパン屋さんのとびらをかってにあけて、きのうのうれのこりのパンをかってにとって食べました。
カチカチになっているかとおもったさみしいパンは、昨日のままにふかふかとやわらかくて
私は、パンもねむっていたのだ、ときづきました。


フィオ「いつもと違うこと、を堂々と出来るのは確かに解放感あるかも」

フィーナ「ねまきの冬は寒そうだけれど……」

フィオ「眠っていたものを食べることは出来るんだね、既に不思議で一杯だけど、止まったタイミングは微妙に異なってるみたいかな? おかあさんは調理の途中だったけど、パンは少なくとも昨日のままだ」


おもちゃ屋さんにいったら、かたっぱしから箱をあけて中身をとりだしてみました。
それから洋服屋さんへいそいで、いちばんおとなびたコートを盗みました。
だれも本当に目をさまさないので、
だいきらいだったピアノのおけいこの先生の家へいって、まどをおおきな石でわりました。

雪をふみしめた私のあしあとだけが今朝からすすんだ、ひとつだけの時間です。

私はごみぶくろにもたれかかってねむっているカラスをそっとだきあげました
はじめてさわるカラスは、私の顔よりもおおきなからだで、ずっしり重くてすこしべとついていました。
カラスをなでながら、私はほかにどんなひどいことをできるだろうと考えました。



フィーナ「うぅ、確かにやりたい放題できるみたいだけど、こういうお話ってしっぺ返しがありそうで怖い」

フィオ「先制の顔面に石をやらないだけやさしい」

フィーナ「やさしさの定義から見直すべき」

フィオ「カラスも触ると生きている感じはするんだね、そうは言っても、って感じだけど」

フィーナ「さて、ひどいことに心をめぐらせた結果。誰も入ってはいけない寺院のことを思い出したね」

フィオ「いよいよタブーに触れそうな気がしてやばい」

フィーナ「語彙力」

フィオ「気になるのはわかる、わかる、けどなぁ」


寺院まで雪をふみちらしていくと、門番はすっかりねむっていました。
私はもはやこそこそすることもなくわがものがおで寺院に足をふみいれました。

とびらをおすと、少しずつひらきましたが、結局ひらききらずになにかにつっかえました。
つっかえたままのとびらのすきまからからだをねじこむと、
すぐ目のまえにほのかに光る壁がひろがっているのでした。
壁に手をふれてみると、あたたかで、ずっとふれるにはあついくらいです。
それになんだかやわらかで、ふさふさとしていました。私は壁をみあげました。

死んだような朝日に満ちてまばゆいそれは、天井に届くほどおっきな白馬でした。

足元が浮いたように、少し力が抜けましたが
私は、けれど、なにも怖くはありませんでした。
だって、その馬もねむっていたのです。



フィーナ「当然ここもねむっている……と」

フィオ「門番を突破すれば入れるんだからそこまで厳重でもないのかもね」

フィーナ「どちらかというと精神的な要素が……」

フィオ「ヒュッ……」

フィーナ「壁みたいなって……相当だねこれは」

フィオ「体温は本物のうまっぽいけど得体が知れないし、何よりこんなところになんで居るのか」



19回:さんごのトロフィー

フィーナ「初めての景品だね見えてくるものは……」

(情景。)

(海の底)
(ゆたかな海藻、舞う魚やびせいぶつ)
(ゆるやかなる波、温かな水温)
(歓声)
(鼓膜をふるわせるほどの歓声!)



さあああやってまいりましたエクストリーム・スーワーム・レース!
ことしもここオーシャンサウスの海藻のすみかに20万個ものスーワームの
たまごが産みつけられております!

いきものみな活気だちまさに水温は春!
さかなどもはあざやな色にあふれかえり、
プランクトンらもマリンスノーのようそうです!

スーワーム…彼らのその数奇な人生が幕ひらこうとしています…!
生物のさがとはかくもおかしく熱狂的なもの!
子孫繁栄のために海洋横断を宿命づけられたいのちが!
夜明けの水温上昇をまち…観客たる海はいまかいまかとかれらを見守り…
…おおっとーーー!?今ひとつめのたまごがやぶられ…やぶられ…っ
やぶられたあーーーーーっ!開幕だあーーーーーーーーっ!!



フィオ「!!?」

フィーナ「すごくもりあがっている!」

フィオ「レースなのにひとつめが破れたところからで良いのかな」

フィーナ「生存競争みたいな話になりそうだし、早さが全てじゃないんだとおもうよ」


サバイブファースト、レースセカンド
ことしもエクストリーム・スーワーム・レースの開催です!!


フィオ「あ、ホントだ。きっと人々を熱狂させるだけのドラマがあるんだろうね」

ひとつめの関門はキャッチ・ザ・グリーンテイル!
この海藻の群生地にはさまざまなぁいきものたちが食事をしにきますがあ!
まだおよぐちからのほとんどないスーワームたちは
ほかの魚のにつかまって2km先の熱気口までつれて行ってもらわなければなりません!

ただし黄緑にひかる尾ひれを持ったグリーンテイル!この魚しか 
熱気口にはいかないのでえ〜〜〜っす!ほかの魚が行く方向がてんでばらばら!
色のみわけのつかないスーワームがグリーンテイルの尾ひれをつかめる可能性は
50:50といったところでしょう!

さああーーーーー!先頭集団あたまひとつぬきんでました!
いや…おっとふりおとされたあーー!きびしい!トップランナー脱落です!
海はきびしい…しかしみえてまいりました!第一チェックポイントの熱気口です!
たどりついたのはざっと12万匹!


フィーナ「早速運をためしていくぅ」

フィオ「五分五分を生き残れないものに未来はない」

フィーナ「泳ぐ力がなければつかまる力も弱いと思うし、実際にはもっと振り落とされそう」

フィオ「でも6割か、上等上等、全滅しなきゃ安い」


第二の関門はここで運よくいちねんアンコウに捕食されること!
ハンティング能力のないスーワームのこどもらです!
いちねんアンコウのこのむカニにつかまり捕食をまつのです!
そして口の中にひっかかり…アンコウの捕食したエサ類をよこどりしなくては
餓死はまぬがれないでしょう!そして10km先のアンコウの巣まで長旅をします!

そうこういっているまに第二チェックポイントの到達者があらわれたあーーーー!!
スーワーム…スーワーム…スーワーム!おびただしいほどのスーワーム!
第二チェックポイントにたどりついたスーワームは1…2…3…8万!
なんということでしょう!8万という数字は例年の1.5倍、1.5倍にものぼります!

なにがおこっているんだあーーー!
今年のスーワームレースは一味も二味も違うぞーーーーっ!!



フィーナ「きっちり寄生していかないと生きていけないのだ」

フィオ「第二も厳しそうだね……と思ったけど割りと生き残ってる感じ?」

フィーナ「例年よりいい結果がでているということは何らかの変化とか進化があったのかもしれないね、数字も結構大きいし」

フィオ「……それにしてもさ、コレってどうやって観測してるんだろうね、固体として大きいものではないだろうし、仮に大きいとしても数万とかそういうレベルのすーわーむ?を完全に把握するのって難しいと思うんだけど」




21回:Kのキー・3

フィーナ「三回目、で今回が最後。ここまでのお話だけど……

1.(8回)
部屋でキーボードを叩いている男が語るのは『カモフラージュ』の話。
監視社会と化した現代において、『犯罪的なキーワード』は調べた個人に付きまとう影のようになっていた。
もちろん一般人にはなんら問題のないことだけれど、男は実際に殺人を犯す者だったのでその検索をカモフラージュする必要があった。

その方法は『作家を目指している』と嘘をつくこと。
誰かが思いついたこの方法は、割と上手く行く一方で、重大な欠点として、作品を発表し続けなければ世間から怪しまれるのだった。
そして今、明日の朝8時に迫った〆切りに追われている……。

2.(12回)
最初の殺人の話。異常なまでに魅力的な衝動と行為に対するこれまた異常なこだわり。
15のときに殺して、処女作を発表したのが17だったとのこと。
本来書きたいと思って書いているわけではないから、それは既存品をつぎはぎにして作ったものだったけれど、ともかく作家としてのスタートだった。

だけれどそれも長くは続かない。
書きたくて書いているわけじゃないから、魅力的なアイディアがたくさんあるわけではない。〆切りにおわれて感じたストレスから、癇癪を起こしてタイプライターを投げつける。
だけれどそのストレスの中で一つのアイディアがひらめいた、社会にはもう出回っていたけれど、画期的な、アイディアが

それは読者へと届けたいものがある売れない作家を利用して、彼らの作品を自分のものとして発表すること
お互いに目的を果たすことが出来るその思いつきは、先のとおり先人が既に思いついていたもので、作家崩れたちもまた、名前を貸してくれるベストセラー作家を探していた。
本当は物語なんか書きたくない、殺人鬼たちを」


フィオ「いやぁ、こうまでして殺人を隠す。それほどに魅力的なのかなぁ。それに、自分の作品を世に出したい。からって殺人鬼を捜し求めちゃうほうもそうとうにキてるよね」

フィーナ「今回でわかるけど、ベストセラー作家同士でも正体の探りあいとかも起きているし、本当の作家というのはもしかしたら……なのかもね」

フィオ「今回で最後になるお話、さて男の末路とは」


とびっきりむなくそ悪いのは、オレは死ぬまで報いなどうけなかったってことさ。
華やかなる美酒ざんまいの日々、世界中のアホの読者どもに愛され、敬われて
金と女と殺人に困らない贅沢な人生をおくらさせてもらった。

客船ビブリオシップ・クルーズは、毎年ベストセラー常連の作家たちとその編集、出版社に、
本を買って抽選で応募してきたファンたちが高尚な趣味を見せつけあういやらしいパーティが開かれる。
高尚な趣味、知的な会話、アピールされる幸運。
あおりにあおったベストセラー・ランキングの授賞式ってわけだ。

その日は人生の一つのピークだった。
オレはその年はじめて、最も売れた作家になえらばれたんだ。
ビブリオシップ賞最優秀作家賞!この世界で創作活動においてそれ以上の人間がいねえってこった。
あしどりが軽すぎてそのまま天に駆け上がっていきそうだった。



フィーナ「アホの読者……か、まぁこの人のやり方を考えればそういっても全然おかしいことじゃない」

フィオ「何より最も売り上げが良かった……のだからねぇ」

フィーナ「そしてピークを迎えた彼の前に現れたのは」


最高の気分で甲板にでると、海鳥が1羽墜落してきた。
病気かなにかしらねーが、もしかするとこいつは相当の近眼で、
魚を狩ろうと海に飛び込もうとしたのかもしれない。
奇跡ともいえるタイミングで甲板に追突してぺたんこになりやがった。

胸せまる光景だったよ。暗闇の空から暗闇の海、1羽の鳥。変わり者さ。
『他のやつみたいに昼間に飛べよ』、って言いたくなるような。
ガラにもなく詩的な気持ちになったね。
オレはもう何年も自分じゃ話なんて書いちゃいなかったが、
その時は若かったころのインスピレーションが蘇って迎えに来たよ。

書きだしはこれ以外ないと思った。
『で、ピークのつぎは下り坂以外はないわけ』と。
最後の一服を終えると、オレは客室に戻った。



フィオ「暗闇でしか飛べないのは……」

フィーナ「何年もってことは、まぁそういうことだよね」

フィオ「どん底と一緒だよね、何処が極端であるのなら、そこからはどちらかしかありえない」


いまとは逆の日だ。いつかにオレがどん底の気持ちだった時、
明日朝8時に編集が原稿を取りに来るのにスランプかましてたあの夜、
チャイムの音がなるとともに、オレはさっき床に投げ捨てたタイプライターを抱えてドアをあけた。
でもそこに立ってたのは編集じゃなかった。
編集よりも一足先にやって来たのはまだ若いオレのファンだったのさ。

ティーンエイジャーってやつはほんとにどいつもこいつも熱病みたいなもんで、
こいつは大量の自作の小説をもって、オレに読んでほしいとおしかけてきた。
読めばわかる、読めば自分の価値がわかると夢見て押しかけてきたイタイやつ。

でもその時、そいつのにきびヅラ、オレには天使に見えたね。
『で、どん底のつぎは上り坂以外はないわけ』と思った。
1時間後、署名だけかえて、そいつの小説を編集にそっくりそのままやっちまったオレがいた。

そいつ?そいつはしんだ。オレはタイプライターをひっつかんで、床に投げつけるようにして
ガキの頭蓋骨を完全にぺたんこにした。どんな奴だったか知らない。
ただわかるのは、元の原稿に記された名前だけだ。
ファーストネームを“キリ”と言う。



フィーナ「やっちまった」

フィオ「焦がれる思いは時に盲目だから……キリさんはその、『どっち』だったんだろうね? 純粋に作家として尊敬していたのか、それとも……」

フィーナ「大量に持ち込まれた原稿。質さえ伴うのなら、それは『しばらく』彼のストレスを消す役割を果たすわけで……」


それから50年も連れ添った。オレはもう80のクソジジイだ。
50年だぞ、50年。半世紀だ。わかるかい、なあ?
3年に一度、そいつの残した長編小説を出版する。計15作ほど発表した。
オレは次第にその小説を読みもしないで編集に渡すようになったが、
署名だけは修正する必要があるからいつも見ていた。
原稿のなかにまぎれこんで、そいつがめんどくせえ自己主張してねーかどうか
文字の海のなかでそいつの名前を探してた。

そういうわけでオレは本なんか書いちゃいない
執筆という牢獄から解き放たれ人生の旨味をすすりつくした。
そして世界一の作家と認められた。



フィオ「本物だったんだね、誰にも見向きされなかった、本当の作家」

フィーナ「そうだね、目的は……本当は彼自身が浴びたかったのか、それはわからないけれど、もう一生」

フィオ「少なくともただ一人は、彼の価値をしっている」


いつからそうだったのか見当もつかないが、オレはふと、
タイプライターの『K』のキーが取れたことに気づいた。
その時一瞬おもったんだ。
キーボードに『K』がなくちゃ、キリの名前が打てないじゃないかって。

ご存じのとおり世は大作家時代さ。この熾烈な生存競争の勝者たち。
ミステリー作家として生き延びた、シリアルキラー。
そしてそれをネタに金を稼ぐ出版社。
金は持っていてなるべく脳みそはスカスカのタコども、読者。

オレは海に凶器を投げ捨てた。
海鳥の脳みそをみてわかったんだ、あん時ぶちまけた脳みそは、
たぶんこのおかしな世の中で一番輝いていたものだった。



フィーナ「象徴的な出来事だよね、まるでそれが運命であるかのように、彼のことを知っているただ一人はその名前を打てなくて、どうしようもない世界のことを誰よりも一番わかっていて、そして海鳥と、自分でぶっ潰した若者の頭」

フィオ「……なんとなくわかってはいたんだけど、出版する側も一枚はかんでるよねそりゃあ……」

フィーナ「使えなくなったら警察に突き出すなりやりようはあるよね……
まぁ作家の作品を理解していない読者も読者……なんだけど」


フィオ「現実はあまりに絶望的だ」


この世を検索しても、キリの名はない。監視社会も名ばかりだ!
オレは天国や地獄を信じないが、
オレの天使はあの世にいるぞ!
さらば、会いにいく!



・・・・・・

・・・・

・・・



(かくして男はつめたい海に沈んだ。)



・・・

・・・・

・・・・・・



Kのキー■■■(End)


フィーナ「絶頂は、いや全てがここにて終わり、執拗に消した彼の名前は、監視社会の目をすり抜けて、今や何処にもない」

フィオ「あの世にはあるから……もしであったとしたら、「ほら、わかったでしょう?』とか言うのかな……」





22回:ごくろうなすず・2

フィーナ「16回に続いての二回目。ここまでのおはなしは

とある地域には『誘拐の儀』と呼ばれる風習があり、生後間もない赤ん坊の一生の運勢を決める重要なものだった。
その方法はたくさんの祭具を町のあちこちにおき、一度赤ん坊を捨てる、それを血縁者ではないものが拾い、祭具を探して町をあるき、見つけたら祭具を回収し、またそこに赤ん坊を捨てていくというもの。
運ぶ人はくじで選ばれ、自分以外誰にもわからない。
それを刻が来るまで繰り返す。

『すず』は赤ん坊の腕に巻かれて、その音で運ぶ人を呼ぶ役目があった。長い長い年月の中で儀式を成功に導いてきた『すず』そしてまた『誘拐の儀』が始まろうとしていた」


フィオ「おはなしは『すず』さんの語りなんだよね、儀式は厳しい側面もあるけれど、成功してきたのは、この音があったからこそ」

フィーナ「多くの人と歩んできたわけだけど、今回は?」


本日、快晴なり。これより、誘拐の儀をはじめます。

いよいよ赤ん坊はやしろの裏手に捨てられた。
今にもちちくさい匂いを嗅ぎに獣がやって来そうな、人気もない野辺だった。
せせらぎの音。虫らの盛る声。光彩ちらす陽。青草のしめり気の上で、
私とその御子はふたりぼっちで定めし大人の訪れるのを待っていた。

ふいに周囲の音がぴんと止まって、全くの無音がやってきたと気づいたらば、
それからはあっというまであった。私には考える暇も追い払う間もなかった。
木陰からつめたいけむくじゃらのまっくろな化物が現れて、ひょいと赤ん坊を拾い上げていたのだ。

化物は、やらかいやわらかい赤ん坊の肉をはなつらでつついた。
御子はきょとんとして無垢の瞳を化物に向けているばかり。
私はあまりのことにおどろいて、化物にわめきました。

「おろしてやってください」



フィオ「さぁ始まった……いやちょっと困る!」

フィーナ「ちょっとじゃない!」

フィオ「が、がんばれ」


「捨て子をおろして、どうなるというのか。」

「その子は、捨てられたんではないのです。」

「この子はいくつか。」

「まだうまれてもおりません。おろしてやってください。」

「けれども、こちらが一度だきあげてしまったこどもは、
 まともにはそだつまいよ。いっそ今ここで食い殺してやるのがいいかもしらん。
 それでもこのこをおまえたちにかえしたほうがよいか。」


「いつまでも私がこの子を呼び戻しましょう。」


化物は表情もなく、あったように御子をねかせた。
ほどなくして定めた大人は訪れて、何事にも気づかず赤ん坊を拾い上げた。
以降の儀は滞りなく進んだのだった。



フィーナ「理解のある人で良かった……のかな」

フィオ「予言みたいで怖いよね、この儀式も先を見るという意味合いがあるものだし」

フィーナ「しっかりと守ってくれたね、で……いつまでも呼び戻す、ということは」


この儀の終りをもって、私は誘拐の儀の鈴の任をやめた。
私は決してこの御子の腕からほどかれないようにしがみついたのだ。
わたしの紐があまりに頑なに結ばれているので民らはそれをまいたままにすることにした。
祭具であるからして、切るのは罰当たりだと思ったのだ。



フィオ「まぁ、そうなるよね。これはこれで儀式のほうが心配になるけど」

フィーナ「でも放っておくわけにも行かない、未来に影が落ちないように」


御子はほかの子よりひときわ成長が早かった。
すくすくと過ぎるくらいの発育をみせたが、時折常人ならざる一面を覗かせた。

御子が4つのとき、人の家の貴金属を盗もうと手を伸ばした時も、
6つのとき、巣より鳥の雛をぬすみだそうとしたときも
12のとき誘拐の儀の最中に祭具を隠してしまおうとしたときも
私はその度に腕で鳴り、御子を人の輪に呼び戻したのだった。



フィオ「なんかやっぱり違うところがあるね」

フィーナ「これはごくろうなすず……」

フィオ「儀式はまだ続いていたんだね、祭具隠すとか本当に悪い子だ」

フィーナ「道をたがえそうになっても呼び戻すことはしてくれているけれど……」



23回:???

([1299]オリナ・クレツキは
 その物体に意識を集中させたが、
 物体の思い出がよみがえることはなかった。

 代わりに頭のなかにあらわれたのは、
 [1020]イルヤ・ヘルムなる人物のすがただった。)




・・・・・・

・・・・

・・


(意識は途切れた。)





海底のぐちゃぐちゃ【舌】


フィオ「これはいったい……?」

フィーナ「うーんわからないね、運命のお相手、ってわけでもなかろうし」

フィオ「お二人とも知っている人ではあるけれど」

フィーナ「海底にはいろんなものが堆積するけど舌……ね」

フィオ「人の舌と明言されたわけじゃないけど、ちょっと不気味だよね、そういえば、オリナさんって前に見た時は、さんごのトロフィーじゃなかったっけ、あの良くしゃべる人の舌……?」

フィーナ「ホラーはやめて」



posted by エルグ at 12:00| Comment(0) | 日記