17〜19日 増していく力と
フィーナ「出力を増幅するために手配してもらった光芒は目的を的確に果たしてはいるようで……」
フィオ「やっぱり危なさそうだよね。それだけの覚悟があるということでもあるんだろうけれど」
一旦暴走を止めるのに失敗すれば、この二つは私の心を破壊するまでの魔力を一気に放出するだろう。
フィーナ「自分でわかっていて、そのための備えを十分にしていても、不安は残るよね、制御に心を割いていられるあいだはいいけれど……敵を前にしてそれを維持するのは難しい」
18日目
フィオ「レッドバロンで出現した魔物が、アウラさんの世界と似たような特徴を持っていたらしくて、ちょっと嫌な印象をいだいて」
フィーナ「やられてきたことを考えればそれもそうだけど、冷静さは保っているみたい」
フィオ「びーくーるびーくーる」
19日目
フィーナ「目に見えて強くなっていく力、その一方で……」
手を握り締め、感触を確かめる。邪気で強化したターガリアリングを見る。
その度に、私は一歩また一歩と、簒奪者を灰にできる日が近づいていると実感して、笑いがこみ上げてくる。
――何か、何か変だ。変な感じがする――
……いや、そんなはずはない。敵を倒せる力に近付いているんだ。
そうだ。今、私は。とても。とてもいい気分だ。
フィオ「……いや、よくない、ぜーったいよくない」
フィーナ「いくら冷静にと呼びかけても、心から湧き上がってくるものを止めることは難しい。せめて、その恨みの炎が自らを焼かないように――」
20〜30日 全ての始まり
フィオ「荷物の整理をするアウラさんは見慣れない日記が紛れていることに気づく、中身を確認するとルイーザさんのものだとわかったけれど、そこにはある事実がかくれていて……」
アウラ
「ルイーザのものか……。そういえばあいつ、セルリア法国到着後に何かを探していたな。これだったのか」
簒奪者に城を奪われほうほうの体での逃亡生活を送った後、安全な隣国へ到着したのを機に私とルイーザは色々荷物を整理していた。おそらくはその中で私の荷の中に紛れ込んだのだろう。
――今日も殿下の御身は無事だった。ドラゴンと対峙したが、殿下に下がってもらい1対1の形に持っていけたことでなんとか勝てた。聖陽の神に最大の感謝を。何が何でも守り通して見せる――
アウラ
「……「殿下」か。そういえば法国に着いて法王聖下と拝謁する前はまだ君主じゃなかったからな。逃亡中にドラゴンと出くわしたときはヒヤリとしたが、ルイーザが居てくれて本当に助かった……ん?」
――あと殿下可愛い。「回復魔法が得意じゃないからな、すまない……」って申し訳なさそうな表情浮かべられてたけど、衣服を破って包帯代わりにされたり懸命に氷とかを探されておられるのを見るだけで体力なんて全快する。ドラゴンとタイマン張った価値は十二分すぎる程にあった。大火傷してむしろ少し嬉しいくらいだ――
アウラ
「何を書いとるんだ、あいつは」
途中見つけた文を見て思わずツッコミを入れる。忠誠心が鼻から出るんじゃないだろうかと心配になる。
フィーナ「厚い忠誠心は時折暴走するものだからね仕方ないね」
フィオ「かわいいのがわるいんだからね・・・」
フィーナ「今回良かったからって頻繁に(大火傷)するのはやめようね」
フィオ「と……ここじゃないんだよね」
アウラ
「まぁ、何はともあれこれ以上見るのは悪いな。とっとと閉じて、後日あいつに返すか」
そう思って日誌を閉じようとした時。私の視線は、偶然見つけたとある文に奪われてしまった。
――ロード=クルトの御命もラルスに奪われた。もうすぐ殿下との婚約の儀も控えていらっしゃったのに――
アウラ
「――!!なんだ、今の文は!!」
慌ててその文が書かれていたページを見直す。そしてそれが見間違いでないことを確かめて、続きを読んでいく。
――私が駆けつけた時、ラルスは自身の影から黒き槍を生み出し、それを使ってロード=クルトを串刺しにしていた。彼の表情や体勢から察するに、背後からいきなり攻撃されたのだろう。
場所は来賓室。おそらく、ドアを背に大丈夫だと話していたところに、音も無くドアを開けたラルスが……といった所か。
その後ラルスの動きを封じて逃げることとなった。その時に心に負担が無いか訪ねてみたが、殿下は「クルト?誰だそいつは」と仰られた。
私は公妃陛下と目を合わせ、その言葉が聞き間違いでないことを確かめた。
無理もない。父親を目の前で殺され、その上あれだけ親密に愛し合っていた相手の無残な死……どちらか一方でも忘れなければ、心の平穏が保てなかったのだろう。
だが今はそのことに少し感謝している。もし殿下がロード=クルトのことをお忘れにならずにその負担を受け止めようとされたならば、来賓室から無事に逃げられたか判らない。
殿下が涙一つ見せずに私達を公王一族しか知らない隠し通路まで案内されることが出来たのも、ひとえにそのお陰だろうから――
アウラ
「なんだ、一体何を書いているんだ、ルイーザは……?」
何を書いているのか判らなかったが、困惑する私の頭に、ふっと記憶が蘇る感覚がした。そして――
アウラ
「待てよ……?クルト……クルト……。そうだ、思い出した……クルト=フェーゲライン……。北部総督フェーゲライン家の次男で……私の……」
アウラ
「私が、初めて……そして、とても愛しく想った相手……」
フィーナ「あまりのショックに欠落していた記憶、心を押しつぶしそうになる感情と共に、しっかりと過去を見据える決意をする」
フィオ「次回から、過去偏だね」
フィーナ「過去偏でのアウラさん周りの動きについて確認しておくね」
- ラルスによる計画実行に伴うルイーザさんを遠ざけておく工作
- ラルスへの疑いと、動き出していた計画。不意打ちのよって致命傷を負うローラントさん(父)
- 父との別れ、クルトさん(婚約者)の死、ルイーザさん到着
- 一瞬の攻防と逃亡。逃走経路の封鎖の結果、自ら犠牲となるソフィアさん(母)
- アウラさんを託されたルイーザさんと、彼女自身のソフィアさんへの思い
- 魔軍の狙い、多くの犠牲、それらを受け止めての決意
- 逃亡中に目にすることになるソフィアさんの最期
- 逃亡の終わりと、王としての認定。『二人の王』(アウラさんとラルス)時代
- アウラさんの様子を心配するルイーザさんと心当たりのないアウラさん
フィオ「ルイーザさんとアウラさんそれぞれの視点から色々あったけど……」
フィーナ「とりあえずラルスは許すまじ、殺すべし」
フィオ「私利私欲で多くの命を奪ったってことだけでも相当なんだけど、ソフィアさんの一件は完全に火をつけた感あるよね」
フィーナ「あとでまた書くと思うけど、生理的な嫌悪感ってレベルの出来事だったね。あぁいうのを楽しんで? 見ていられる魔軍とも絶対に相容れないだろうなと」
フィオ「見た目が近いだけで、全然違う存在なんだなって」
フィーナ「日常でのお話だと、ルイーザさんがへんt……あふれ出る忠誠心がね」
フィオ「ヘドバンするルイーザさんもね。意外な一面。とはいえそれを利用されちゃったんだけど、ということで、細かく見ていこうか」
1.ルイーザさんに対する工作
フィーナ「魔軍による侵攻を成功させるために、いくつも工作をしてきていたわけだけど、この日この場からルイーザさんを遠ざけておく事も重要だった。
そのために疲れの見えるルイーザさんへの休暇の提案と人気バンドのチケットを用意」
フィオ「何事も夢中になっちゃうことってあるよね……」
フィーナ「結果として起きたことを考えると、音楽を聞くのがつらくなりそう」
フィオ「このとき整備士にも粉をかけてバイクを故障させてるんだよね。整備士の人は何処までしっていたのか」
フィーナ「様子から推測すると脅されていた可能性があるかなぁ、最強クラスのルイーザさんにも言い出せないレベルってことは、魔軍の侵攻も知らされていた可能性があるかも?」
2.ラルスへの疑いと真実の発覚
フィオ「ルイーザさんがライブ会場に居るころ、ローラントさんは気になる報告を受けていて、その件についてラルスを問い詰めているところ」
フィーナ「このときアウラさんもそばに居たのは結果的には良かったのかも」
フィオ「この疑いは数年前の航空機事故について。多数の王族が犠牲になって、結果としてローラントさんが王位につくことになるんだけど」
フィーナ「どうやらこの事故がラルスの手引きによるものだったらしい。それを問い詰めるとあっさり自白を始めて……」
フィオ「目的はローラントさんを王にすることで、そこにつかえる自分の地位も上がるって単純なものだったみたい。それだけのために多くの犠牲を払わせるのは狂気以外のなにものでもないけど」
フィーナ「そんなラルスは更なる地位を求めて更におおきな裏切りを始めていた。権力のため魔軍に全てを売り渡したラルスの一撃が迫る」
3.地獄と化した城内
フィオ「ラルスが狙ったのはアウラさん、どうやらこれが魔軍の計画みたいで、跡取りを完全に絶つことでここの支配を磐石にしようとしたみたい」
フィーナ「間一髪ローラントさんがかばってくれたから何とかなったものの、これが致命傷となりここで足止めをすることに。アウラさんは自分の使命を理解してその場から離脱」
フィオ「魔軍の思惑を狂わせることはできたけど、城内は既に地獄と化していた。多くの死者とアンデッドと化したかつての家臣たち」
フィーナ「そんな中、唯一の希望といえるルイーザさんも城に到着していて、心を凍らせながら進む彼女の目に入ったものは……」
4.増える犠牲と……
フィオ「目にしたのは刃に貫かれたクルトさんだった。一気に間合いをつめてラルスへと襲い掛かるルイーザさん。何とかアウラさんを助け出したものの、彼女の心は大きなキズを負ってしまったようだった」
フィーナ「目の前で大事な人がどんどん死んでいくんだからたまったものじゃないよね」
フィオ「アウラさんとソフィアさんを連れての逃亡は、また一つの選択を迫られることに……。それはアウラさんを逃がすためにどちらが犠牲になるか」
フィーナ「ここからの過酷な旅路、アウラさんのこれからを考えた結果、反対を押し切ってソフィアさんが残ることに……」
「ルイーザ=ヴァイカート。ソフィア=キストラーからの、最後のお願いです。公国の未来を……守り抜いてください。アウラ……あなたに辛い思いをさせるこんな母親を、どうか許してね……」
「………………。承知……致しました」
「わかったよ……母さん……」
「二人とも……ありがとう」
フィオ「辛い別れが多すぎる」
フィーナ「託されたものはとても重い。それでも二人は進んでいかなくちゃいけない」
フィオ「ルイーザさんにとってもソフィアさんは故郷を救ってくれた恩人だった。その思いに答えなくちゃね」
5.逃亡の最中
フィーナ「城は落ちた。今はなんとかセルリア法国へと向かわなくては」
フィオ「かなり長い旅路になるうえ、移動手段は先に押さえられてしまっていたね、整備にも手を回されていたのがここにきいてきた」
フィーナ「一年を数える過酷な逃亡。アウラさんはその最中に強さを渇望するようになる」
フィオ「まぁ目の前に謀反人がいたわけだからね……あとは、髪をバッサリ斬って、復讐の印にしたね」
フィーナ「深い深い復讐の誓い。……でもその思いを、もっと熱く、黒く、燃え上がらせる出来事が待っていた……」
6.決闘裁判
フィオ「逃亡の最中に助力を得て、ひとまず落ち着いた様子の二人。そこに入った報せはソフィアさんが裁判にかけられるというものだった」
フィーナ「裁くのは向こうのルール。決闘だというから、形式上は整っているとはいえないこともないけど」
フィオ「画面の向こう。魔軍の大御所が集まる中で、ソフィアさんは気高く宣言する。このたびの事態は簒奪であり、ラルスは正当な王ではないのだと。そして始まる決闘裁判。
アウラさんを逃がした咎で片腕を失い、義手へと変えられていたラルスは、擁護者を立てると宣言し……」
――悪夢は、そこからだった。正直、ここから先は書きたくないのだが……書かねばならない。だから、記す。奴が擁護者として指名した者。それが歩いて来た時。私は目を疑った。その『剣闘士』は……歴代公王が着る、白地に青い縁の軍服を着ていた。まさか、と思った。だが、カメラがその姿をアップで映し出したとき、『まさか』は確信へと変わったのだった。中肉中背の体格、公王の服、そして何より、体中に空いた無数の穴……ラルスが影の攻撃をしたとき、その攻撃対象の身体に開けられたものと全く同じ配置のもの。首こそ斬り落とされて失われていたが、見間違うはずがなかった。その名は――
フィーナ「出現したのはデュラハン。その生前の名は『ローラント』……心が乱れ戦うどころではないソフィアさんは一方的に嬲られ追い詰められていく」
フィオ「それでも、アウラさんについては一言も漏らさず、その誘いも拒絶する。そしてそれを見ているアウラさんは、張り裂けそうな心でそれを見届ける」
フィーナ「凄惨な最期を迎えるソフィアさん。ラルスの芝居がかった演説、沸き立つ魔軍」
フィオ「こんな相手と分かり合うことは無理だと思わせる出来事だったね……」
フィーナ「一切の遠慮なく、一切の同情なく、打ち斃せる相手だ。
復讐心で生きるのは正直おすすめできないけれど、そんなことを言っていられる様な状況じゃない」
フィオ「この一件の後、ラルスはここの管理を命じられる。一方、法国へと到着したアウラさんはもう一人の王、『正統なる白の女王』として称号を定める。公国の二人の王。簒奪者と正統な王の戦いの行方は……」
フィーナ「最後に、アウラさんは裁判の日に書かれたルイーザさんの日記を読む。そこに書かれていたのは、その日のアウラさんを見て綴られたものだった」
――最近何かと不安に駆られている。思い過ごしであればいいのだが、今日の事件……とりわけ、太后陛下が崩御された時の陛下の目には、なにかとても嫌なものを感じた。カーセルロック脱出以降、訓練も血気迫っている。どうか、どうか杞憂でありますように……
フィオ「こっちも不安だよね……本当に」
31〜35 愛について
31回
自分とルイーザさんの日記を読むことによって復讐の思いを強くしたアウラさん。
心中穏やかではないところにさらに悪い報せを受け取ることになる。
それはキストラー家が仕える形になっているクロセア家が実質壊滅したというものだった。
これによりアウラさんの立場は正式な『王』というものになり、その責務も彼女の両肩にのしかかることになる。
1000年以上も続く関係が絶たれたことにショックを受け、その原因となったラルスへと更なる憎悪を募らせるアウラさん、その意思を受けるかのように、危険な装具が明滅する。
フィーナ「今回はアウラさん自身に危害が及んだわけじゃないんだけれど、魔族が強く敵視しているセルリア正教の関係者はこれからも危ない目にあいそうだね」
フィオ「大きな脅威になっているわけだからね、女性であるアウラさんを逃さないようにしていたのも跡継ぎを産ませないため……みたいなところあったし」
フィーナ「魔族側としても決して小さくない恨みがあるんだろうね、ただそれを踏まえても数々の非道は許されるものじゃないけれど」
フィオ「アウラさんの心が心配だね。ずっと言ってるけど」
フィーナ「今回ので更なる責任も得ることになってしまったものね、怒りと恨みで押しつぶされてもおかしくはない」
フィオ「虚無感や悲しみも相当なものだし、マイナス方向へこれだけ振れていると……」
32回
多くのものを背負いながら、アウラさんの体は一つしかない。
探索は何とか続けているものの、隠せぬ疲労と、日々の業務に陰が差してきたころ、日記を勝手に読んでしまったことをルイーザさんに謝罪する。
ルイーザさんもアウラさんが『忘れていること』を話すべきかどうか悩んでいたため、それを知ったアウラさんが膝を折っていないことでやや安堵することになった。
だが、まだ思い出していないことを呟いた際に、魔族の襲撃を受け急遽戦闘となる。
これまでの恨みを載せた力が発動し、魔族は完全に消滅した。しかしそれは本来扱う浄化の力ではなく敵を消滅させる力であり、そのことに愕然とする二人。
アウラさんはその力を非常に心地よく感じ、ルイーザさんはその危うさを指摘し、手放すように懇願する。それは宿敵、ラルスと同じような道であると
口論となった二人。アウラさんはルイーザさんの声を聞き入れず、その巨大な力で魔族を滅ぼすのだと息巻く。
自分の言葉ではとめられないと感じたルイーザさんは、アウラさんが見落としていた日記の一節、母の最後の言葉について読み直すように告げるのだった
フィーナ「ついに……というべきかな」
フィオ「ずっと兆候は見られていたけどね。心のありかたが力の形に影響を与えることもあるんじゃないかなぁとは思っていたし」
フィーナ「忌避すべき力を心地よく感じるってのはかなり深刻な状態のように感じるね。それがどのようなものかを理解したうえで、利用してやろうって感じるのも」
フィオ「まぁ力を欲するような状況が続いていたからね……それがどんなものであっても」
フィーナ「とはいえまだ希望はある。とおもいたい」
フィオ「今回の敵は機動力のあるタイプだったからアウラさんが処理したけど、現状ルイーザさんとどっちが強いんだろうね」
フィーナ「……まぁ『そういうこと』にならなければいいけど、もしこのまま……ってことがあったらわからないからね」
フィオ「どうかお互いが不幸になることがありませんように」
33回
『力』の開放から気分は改善したものの、知らずとそれに依存しているようなアウラさん。
ルイーザさんに言われたとおり日記を再び読み直し、一度はその違いに気づけなかったが、再度精読し、さらには映像の記録を見直すことで、『母の最期の言葉』を知ることになる。
それは『愛を忘れないで』というものだった。それをルイーザさんだけがしっかりと受け取っていたことに嫉妬の感情を一瞬抱き、その上でルイーザさんがこれを読ませた理由を理解する。
しかしアウラさんは限界を迎えていた。これまでどおりに力を振るうことがかなわず、改めてがんばろうとする決意も、王としての自分をこれまで支えてきたものも、彼女を動かす力にはならず。
ただラルスに対する憎悪のみが原動力となっていて、その憎悪のままに力を振るえたことでむしろ安堵していた。
その現実に困惑し一人慟哭するアウラさん。ルイーザさんにはありのままを告げ、憎悪のまま突き進む自分を認めさせようとする。
フィーナ「言葉の端々から引きずられているような印象があるね」
フィオ「口論になったときも荒々しかったけれど、そういう影響もあるのかも」
フィーナ「でも今回の日記の感じだと、もう精神的に参っていて、そこにつけこまれた……っていうか」
フィオ「つけこまれたっていうと、もう負けたみたいに聞こえるからやめて」
フィーナ「……実際瀬戸際だとおもうんだよね。間違った方向へ進んでいると自覚しても、それ以外にないって決めちゃってると……」
フィオ「期待や願いも重圧にしか感じないみたいだからねぇ……さてどうするのか」
34回
アウラさんは悲痛な決意をもってルイーザさんに自分の現状を吐露し、告げる。
「もう……私に期待なんてするな。私は……苦しいんだよ。お前の目を見るのが……」
裏切りになると理解した言葉。だけれどそれを受け取ったルイーザさんはそれでもなおアウラさんを支えたいといって、アウラさんが動けなくなった要因を語っていく。
それは崩れ落ちそうな自分の心を、自分の役割と立場で縛りつけ何とかつないできているというものだった。
自分のことを理解していることを驚くアウラさん、それでも憎悪で動くしかないことには変わりないと叫びを上げる。
そんなアウラさんを抱きしめ、自分の気持ちをしっかりと語るルイーザさん。その言葉にアウラさんの心も癒されていく。
改めて歩み始める二人。そして限界化する従者
フィーナ「いやはや本当につらそうだった」
フィオ「もうアウラさん自身は一人で落ちていく覚悟だっただろうからねぇ」
フィーナ「ルイーザさんが支えるって言っても、それはルイーザさんを辛くするだけだって否定しようとしてたしね」
フィオ「だけれど、ルイーザさんの深い愛で救われたわけだ、まさしく愛を忘れないで」
フィーナ「イイハナシダナー」
フィオ「でも最後は」
フィーナ「イイハナシダッタノニナー」
フィオ「あのときの受賞コメントがまた出てきたのはびっくりした」
フィーナ「……本当の忠誠と、本当の(変態的)愛情が両立するとこんなに強いんだなって」
フィオ「ちょっと茶化し気味ではあるけれど大きなターニングポイントだったと思う。もちろんまだ過大は山盛りではあるんだけれど」
35回
再出発したアウラさん。先日のようなことがあったとはいえ、扱う装備は邪な力を頼っているものもあり、油断はできなかった。
この日も日課となっている強化を行ったが、ルイーザさんが尋ねてきた際に見たこともない光を発していることに気がつく。
そのまま感覚の赴くまま、アウラさんが装備した状態でルイーザさんが触れると、黒い光が現れ、それが一瞬にして白いものに変化した。
理解が追いつかないアウラさんに意味深なことを言うルイーザさん。その現象の正体は邪気の力をその量のまま、聖なる力に変換する奇跡『聖転』だった
フィーナ「出たなこの前もあやしい輝きを放っていたアイテム! とおもったら」
フィオ「いやぁ……愛の力ってすごいですね」
フィーナ「ルイーザさんによる底なしの主従愛は天使公認だということが発覚した」
フィオ「実際一つの心配事だったんだよね、あのリングとか」
フィーナ「心は克服したといっても、いろいろあるからねぇ、ルイーザさんだって不死ってわけじゃないし……」
フィオ「そういう不穏なことはやめよう」
フィーナ「二人の絆が深ければ深いほど、心配になるんだよねぇ……」
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