18回
六華・黒葛原・ブランシュは目の前で起こっているそれに目を奪われていた。
「綺麗……」
フィーナ「身の回りで起きている不可解な出来事に不安を抱いている六華さん。今日は楓選さんのところで舞を見せてもらっているみたい」
フィオ「凄い綺麗に舞っているらしいんだけど、デジタルの力で模倣しただけという答えにちょっと複雑な気分の様子で、その感情を見抜かれてしどろもどろに」
「普通見たからってそんな綺麗に舞えないと思いますよ、やっぱりそれもデジタルの力なんでしょうか?」
「ふむ、そうじゃな、六華はそれが不満か?」
「べ、別に不満って訳じゃないですよ、ただなんていうか……すみません、言葉が思いつかないです」
考え込む六華のことを楓選はふむと見つめ、にっと笑い口を開く。
「謝らずとも構わぬ。でじたるハイテックノロジィである婆と、有機物たるぬしでは感性も当然違うじゃろうての。ぬしの驚きはその差異により生じたものと思えるが故、婆は気にしておらん」
「ありがとう……ございます」
フィーナ「有機物とハイテクの違いか……そう考えれば納得できないこともないけれど、有機物と遜色ないように見えるハイテクだと、奇妙な感情を抱くことにもなるかもね」
フィオ「考えすぎないように、という言葉を貰ったけれど、それが何かトリガーになって……?」
「ぬしはどうも考えすぎる嫌いがあるようじゃな、そんな風にしていては色々詰まらない事になってしまうぞ?」
「考えすぎる……?」
そう小さく呟いた六華の心の中で、ざわつく物を感じていた。
『考えなければいいんだよ?もっと楽になる方法があるよ?』
フィーナ「不穏な言葉。なんだかねぇ」
フィオ「目に見えない協力者というセンもないわけじゃないかなって思ったんだけど、思考に干渉してくるとなるとそれも怪しいかな……」
19回
六華・黒葛原・ブランシュは自室のベッドの上で、自分のことについて考え頭を抱えていた。
「私……どうしちゃったんだろう?」
最初は違和感だけだったものが、日を追うごとに、形のある何かになっているような気がしていた。
「このテリメインに来てから……だよね……」
いつからか明確なことは判らないが、何か自分が自分でなくなるように思えることが何度かあったのを感じていた。
フィーナ「自分を苛む違和感に不安を募らせる六華さん、先日の買い物の件が特に気にかかっていて」
フィオ「自分が買ったはずじゃないものを買っていたってアレだね。嗜好とも異なったものを買っていたみたいだから、余計に不気味」
「なんか、こう自分が自分でない気がする時があるんだよね、何なんだろう?気のせいかも知れないから他の人には聞きにくいし……」
考えれば考えるほど、何かこう自分が暗い穴の中に落ちていく気が六華はしていた。
少し前にルグリーゼ・レーベンラントと話をしたときにしたぶれのない自分という話も、なぜか心に引っかかってもいた。
その話自体は『機械の体になれば』という物であったが、心にぶれが来ていると思える今の自分の心に深く刺さった気がした。
その中で先日自分のやったと思われる、覚えのない買い物の事が凄く気になっていた。
フィーナ「自分が自分でなくなる感覚。その原因は何処にあるのだろうね。
テリメインを訪れていることが原因なのかと疑っても、その答えはまだ見つかることはなくて、不安だけが続いてる……」
20回
「また、闘技大会、かぁ」
六華は再び開催される次の闘技大会のことで憂鬱になっていた。
「できれば他の人と戦ったりはしたくないのにな……」
集団戦におけるデータを取るために第二回の海底杯にもエントリーさせられたことにため息をついた。
フィオ「再びやってきた闘技大会の時期、前回と同じく消極的な気分みたいだけど」
フィーナ「他の人と戦うことを好まないからね、とはいえ仕事……なら仕方ないともいえないことはないけれど」
「最近なんか魔力の使い方が上手くなった気がするし、今までよりも強くなれた気もするんだよね。命の危険はないから、そういうのを試すには丁度いいのかもしれない」
そう六華は自分の気持ちの整理をつけると俄然やる気が出てきたが、少し前ならそういう風に思うこともなかったことに六華自身も気が付いていなかったのだった。
フィオ「今回は自分で何とか切り替えたみたい……?」
フィーナ「気持ちの整理をつけてやる気を出す、というのは立派なこと何だけれど……やっぱりなにか、緩やかに変化が起きているのかな……」
21回
「士官候補生学校からの命令?」
メルヴィーユ=グリュンワルドからの問いに対して六華・黒葛原・ブランシュはどう答えるべきか悩んでいた。
彼女との交流の中で、何度か自分の所属についての話が出て、今回つい言ってしまった単語に対して、彼女が疑問を問いかけてきたのだった。
そしてどう答えるべきか悩む六華を見て、メルヴィーが更に言葉を続ける。
フィオ「幾度か交流があるメルヴィーさんとの会話の中で、秘密にしていた自分の所属先についてもらしてしまった様子の六華さん」
フィーナ「不意の一言から隠し事がばれちゃうってのは良くある話だよね、今回も追加の質問をされて話すことにしたみたいだけど」
「私は……軍人なんですよ」
「軍人?」
六華の普段とはあまりにかけ離れたその言葉にメルヴィーは一瞬理解が追いつかなかった。
「見えないですよね、私が軍人だなんて」
「……え、ええ……」
「私はメルヴィーさんが興味を持ってくれたSSLDって言う装備の実験の為にこのテリメインに派遣されてきたんですよ」
六華は言葉を選びつつ、メルヴィーに話をしていく。
六華の言葉に今までの六華との会話の意味がようやく一本に繋がったメルヴィーはやっと自分の中で整理がついていった。
「なるほど士官候補生学校ってそういう意味だったのか」
「はい」
「でもなんでそれをことさら秘密にする?別に軍人であること自体は恥じるべき事ではないだろう?」
メルヴィーは不思議そうに六華に再び聞いた。
「その……、怖いイメージがあるかな?って……」
さすがに自分がここで軍事技術の実験をしているからとは言えずにそう言葉を六華は返した。
フィオ「ということでしゃべっちゃったけど、大事な部分はまだ隠したまま……か」
フィーナ「まぁ六華さんの一存でしゃべっていいことだけじゃないものね」
六華の言葉にまだ言ってないことがあると感じるメルヴィーではあったが、彼女がそう言うのなら今はあえて追求はしないでおこうと決めた。
「大丈夫。私は軍人だからって怖がったりはしないよ。六華は六華だろう?だから大丈夫だ」
そう言ってメルヴィーは六華に微笑みかけたのだった。
メルヴィー笑みを見て六華は一瞬ほっとした表情を浮かべたすぐ後、それまでとは違うどこか暗さを持った笑みを一瞬浮かべたようにメルヴィーは感じられたのだった。。
フィオ「メルヴィーさんは『話していないこと』に気づいてはいるけれど、深く掘り下げはしないみたいありがたや」
フィーナ「……最後はちょっと不穏だったけどね。メルヴィーさんが、じゃなくて六華さんが、だけど」」
フィオ「自分じゃない自分……? なのかな」
22回
フィーナ「第二回海底杯も始まったけれど、今回は大人数のパーティを組む形式で、集め切れていない人たちもちらほらと」
フィオ「というわけで規模は大きいけれど、戦闘の強度はそれに比例して大きくなっているとも限らないみたいだね」
「これなら……、何とか怖い思いをしないでもすみそうかな」
六華は自分が怖い思いをしたくないとは思っていても、相手を傷つけたくないから戦いたくないという気持ちは薄れていることに気が付いていなかった。
まるでそれは六華という人物が二人いるかのような変化であった。
フィーナ「危険度が下がったことに安堵する六華さんだけど……『傷つけたくないから』という気持ちも薄れてきているみたいで」
フィオ「うーん、不穏。装備が悪いんじゃないかって気がしてくるよね」
フィーナ「兵士の恐怖感とかを抑えるアレ?」
フィオ「まぁまだわかんないけど、そういう類の装備なんじゃないのかなぁ」
フィーナ「ただのふともも装備じゃなかったか……」
23回
フィオ「今日はぐったりお休みタイム。まぁこういう日は必要だよね、気疲れすることも多かっただろうし……」
24回
「やっぱり夏と言えばこれですよね」
気分転換にと六華・黒葛原・ブランシェは海水浴を満喫していた。
「そうですね、たまにはこういうのもいいと思います」
普段はどちらかというとスタイルのいい体をあまり露出しない服装を好む一堂すみれも海水浴ということで、セパレートの水着でその体を惜しみなく見せ付けていた。
フィーナ「海水浴回! 水着回!」
フィオ「やっぱテリメインといえばこれだよね、久々にリラックスしているみたいだし」
フィーナ「だけれど不穏な空気がっ!」
フィオ「え? 不穏……? かな?」
すみれはトロピカルジュースを手にしながら六華がじっとこちらを見ているのを見て不思議そうに見返した。
「そういえばどうしたの?私の方をじっと見て……?」
「そ、それは……」
六華はそう聞かれて口籠もる。
六華は自分の同年代の少女と比べて、若干発育が少ない自分の体を気にしていた、それを意識させるようなすみれのナイスバディが目の前にあり、ついつい意識していた。
六華自身は可愛らしいワンピースにパレオを巻いた水着で、スレンダーとも言えるその体と似合ってはいたが、やはり豊満なすみれの体を見るとどうしても意識せずにはいられないのだった。
フィーナ「わかるぞーナイスバディと比較してしまうのはわかるぞ……」
フィオ「あぁ、そういう」
「ど、どうしたら……」
「どうしたら?」
「どうしたらすみれさんの様になれるんですかっ?!」
意を決して六華はすみれに質問をした。
やっとそれを聞いて、先ほどの六華の行動の意図がすみれにも理解できた。
「大丈夫よ」
「え?」
「六華は今のままでも十分に可愛らしいし、体についてもその内健康に暮らしてれば何とかなると思うわよ」
安心させようと六華の頭にすみれは手を載せる。
「だから心配しないでも大丈夫、ね?」
「……は、はい……」
フィーナ「どうしたらそうなれるか……か。気になります」
フィオ「私欲がもれてるぞ」
フィーナ「優しい言葉。はいいんだけど。ほんとに? ほんとにそのうち何とかなる?」
フィオ「六華さんは。大丈夫なんじゃない?」
フィーナ「私は?」
フィオ「しらんよ」
25回
「やっぱりなんだか変かな……?」
六華・黒葛原・ブランシュは最近の自分に対して疑問を口にする。
気がつくと意識が飛んでいて、覚えのない行動をしていたり言動をしていたりと言うことが、周囲にいる人達の言葉からするとあるらしかった。
フィーナ「表出している違和感、どうやら周囲の人から聞いた話と、自分の記憶が合致していないようで」
フィオ「疲れが原因じゃないか……と思ってたみたいだけれど、これはもう、そんなのとは違うよね」
「うぅん、疲れてるのかな?こうやって他の世界に来て、ずっと仕事をするなんて事は今までなかったし……」
学生をしていた自分が卒業する前にここで任務に就いたことが影響してるのかもと六華は考える。
そんな六華の心の中で、小さく声がする。
『気にしないでいいよ、もうすぐそんな事考えなくても良くなるんだから……ね』
「………ッ!!
フィーナ「……幻聴ならいいんだけど、それだけじゃない状況が色々物語ってる。どうなる……?」
26回
「最近やっぱり調子がおかしい……」
どこが?と聞かれても六華・黒葛原・ブランシュは答えることはできなかったが、明らかにいつもと違う感じが六華にはあった。
体調面、というかテリメインでの遺跡探索などについてはいつも以上に体が動く感じがして問題は無いのだが、むしろそれが六華にとっては違和感にも感じられた。
フィオ「昨日に引き続きおかしいなと。とおもう六華さんだけど、むしろ体調面とかは調子がいいみたいで?」
フィーナ「ただねぇ、ただ『自分じゃない誰かが戦っている感覚』ってのはまずそう」
フィオ「そして……」
「でもあまりそんな風に考えていても仕方ないよね。みんなに迷惑かけるわけにも行かないし、調子がいいならそれでいいんだよ、うん」
そう一人結論つけると、六華はこのことについて考えるのをやめたのだった。
フィーナ「謎の声の言うとおりになっちゃったね。……」
フィオ「フィーナはこういうこと気にするよね」
フィーナ「自分の意思が曖昧なのはよくないからね、後悔することになることも多いから……」
27回
フィオ「外から感じる視線、スパイか何かなのかと疑うけれど」
フィーナ「身分を隠しているとはいえ、最新装備の実験中だからね、そういうのが気になるのかな」
フィオ「とはいえ全然そういうものじゃなくて、新しい出会いがあったみたい、どんな関係を築いていくんだろうね」
28回
「ハロウィン……。どこの世界でも似たようなお祭りがあるんだね」
六華・黒葛原・ブランシュは町中で流行っているお祭りを見て小さく息を吐く。
「どこの世界にいても、考えることは皆同じような物って事なのかな」
そう考えると、どこの世界でも同じように感じられた。
フィーナ「テリメインはハロウィンの真っ最中。六華さんはここでも『そういうもの』があることを感じたみたいで」
フィオ「同じようなことを考えるなら、同じような世界にいるようなものってことかな」
フィーナ「わからなくもないよね、ハロウィンなんかは同じ場所から出発した発想なのだろうし、そういう発想を持った人がいるということは、精神的な乖離も少ないとも感じる」
フィオ「文化とかが似ているなら、近しい関係にも思えてくるよね、すがたかたちより心のあり方のほうがそういう印象を持ちやすい」
フィーナ「六華さんのいろんなことを知りたいという変化。それが自然に現れたものなら、喜ばしいことだけれど」
29回
「ヌイちゃんがいなくなると……寂しくなるな」
上からの指令で、今まで一緒に旅をしていたヌイ・ム・メリュが本国に帰り、広くなった部屋をぼんやりと見ながら六華・黒葛原・ブランシュは呟いた。
フィオ「パーティメンバーであるヌイさんの離脱。本国への帰還命令がでちゃったみたい」
フィーナ「組織って奴は組織って奴は!」
フィオ「慣れ親しんだ人がいなくなるといやだよね、探索に関しては新しい人が加入してくれたから、戦力的なマイナスはそこまで大きくなくてすむかもしれないけれど」
フィーナ「探索ってのは戦闘してそれで成果をだせてればいいってわけじゃないんだよなぁ! もちろん新しく加入してくれた藍さんは大歓迎だけれど」
フィオ「任務の負担はどうしても増えるよね。ただこれまでとは違った縁からいろんなことが生まれてくるのかもしれないよ」
30回
「クリスマス、か……」
テリメインでも聖夜という物はあるようで様々な場所で賑やかになっているのを見て楽しそうに六華・黒葛原・ブランシュは呟いた。
「神聖なものだっていうのはわかっているけど……」
六華は町中で賑やかに売られているパーティグッズなどにその視線を奪われる。
「この服とか可愛いよね」
フィーナ「聖夜……か……」
フィオ「六華さんは楽しそうだね、盛り上がっているのを見るとなんとなく楽しいのはわかるな」
フィーナ「街中を歩いて、商品を見て、ちょっとしたサプライズを仕掛けようとしているみたい」
フィオ「こういう日ぐらいはハメを外して、楽しむのも悪くない」
31回
フィーナ「メリクリ! ということで前回の続き、サプライズ!」
「それにしても六華さん、まさかサンタの格好をしてくるとは思わなかったですよ」
「……ひょっとして似合ってないですか?」
「そんな事ないですよ、可愛いです」
少し丈の短いスカートの赤と白の衣装に身を包んだ六華は藍にそう言われて照れくさそうに笑みを浮かべた。
「パーティを開くなら開くで、もっと前に言って貰えれば私達も手伝えたのに……」
フィオ「パーティを開いて、サンタの衣装に身を包んで……大丈夫だよね」
フィーナ「不穏なことは考えないようにしよう」
フィオ「驚かせたかった、という目的は達成できたかな? 協力して準備したほうが効率いいのはわかっていても、そういうイタズラ心もたまにはいいよね」
フィーナ「一人いなくなっちゃったし、やっぱり心が重くなることはあったみたい、でもこうやって切り替えて、また明日から頑張らないとね」
これから明るく過ごしたい、そう言った六華の気持ちはよくわかったすみれは六華の頭を撫でた。
「もう、すみれさん子供扱いしないで下さいよ」
「あら、ごめんなさい」
むっとした声を上げた六華にそう思っていないような口ぶりですみれはそう言った。
そんな二人のやりとりを見て藍も思わず笑みをこぼした。
「藍さんも私の事を子供だと思ってませんか?」
「そんな事ないですよ」
見た目は若干幼いが、六華よりは年上の藍は話をぼかした。
「むぅ……」
六華はどう言っても無駄だとわかりつつも頬を膨らませたのだった。
フィオ「子ども扱いされる六華さん……」
フィーナ「可愛いから仕方ない」
32回
フィオ「年明け。色々とあったけど、今年こそはいい年になるといいよね」
フィーナ「気になることは多いけどねぇ……なんとかなるといいんだけど」
33回
「はぁ、年始早々失敗だらけだったね」
フィオ「年始一発目の戦闘は『敗北に等しい引き分け』そのあとでちょっと憂鬱気味な六華さん」
フィーナ「メンバーが変わったことも大きいし、色々と変えていかなくちゃならないんだとは思うんだけれど」
「私が変わらないといけない……、私自身が……」
六華はそう小さく呟いていた。
「そうね……、変わらないとね……」
考えている内に六華はだんだん自分の心から何か自分の知らない物がむくむとわき上がってくる様に感じていた。
「……なんだろう?」
フィオ「自分が変わらなくちゃいけないと言い聞かせる六華さん。決意にも聞こえることばなんだけど……」
フィーナ「これまでのことがあったしねぇ、今回も何か不穏な感じが……」
最初は疑問に思ったそのわき上がった小さな、しかし心の隅に凝り固まって消えなくなったその違和感について何故か六華は考えるのを気がつかない内に自然にやめていた。
六華は違和感のことを感じながらも、何故か不思議にも思わなくなっていたのだった。
フィオ「本当に『そのこと』について何も考えなくなっちゃうのかな……やっぱり怖いよね」
34回
「今日は違和感はない……かな?」
六華・黒葛原・ブランシュは朝起きると深呼吸をして自らの体を動かして確かめる。
フィーナ「引き続き『違和感』と付き合っている六華さん。それはもはやないことのほうが珍しいぐらいで、しかもいつのころからか、それを『違和感』とすら感じなくなってきて……」
フィオ「……はたからみてると、ここら辺で何とか一度止まるべき。なんだろうな。心地よい……と感じるには危ない感覚だとおもう」
フィーナ「確証がつかめたのなら、助けを求めるのもいい手段だね。どういったらいいか……は素直にいうしかないんじゃないかな」
37回
「何だろう?ここのところ気持ちが落ち着かない」
遺跡への探索に向かっているはずなのだが、向かったという認識はあるのに記憶が曖昧なことに六華・黒葛原・ブランシュは疑問を口にする
「どうしたの?六華ちゃん」
「あはは、たいしたことでもはないですよ、すみれさん」
「そう?あまりそういう風には見えないですけど……」
じっと見つめられた一堂すみれの視線に、誤魔化すことが出来なくなった六華は仕方なく口を開いた。
フィオ「記憶が飛ぶ。ぬぐえない違和感。それが表情に出ていたのか、すみれさんに心配されて」
フィーナ「誤魔化す……ね。心配を、迷惑をかけないように。という気持ちはあったのかもしれない、そういう風にされていたのかもしれない、けれど、こういうことは早めに相談してオいたほうが良かったよね」
フィオ「なんにしても、自分に起きていることをついに打ち明けた六華さん、アドバイスはすぐさま解決につながるものではなかったけれど……」
フィーナ「とにもかくにも情報は共有できた。休憩を多く取ったり、リラックスしたりすることで改善するかどうかはわからないけれど、仲間なのだから、一緒に立ち向かっていきたいものだよね」
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