Pno053:六華さん
Pno061:クーリエさん
Pno066:シンテツさん
Pno068:クロニカさん
Pno077:リーヴィアさん
Pno084:アンテルテさん
Pno121:サフィアさん
Pno138:キノイさん
Pno140:<<ネーレイス>>さん
Pno178:ネリーさん
Pno216:海底のガチャガチャさん
Pno219:アウラさん
Pno244:エリザさん
Pno414:神徒さん
Pno428:エルゥさん
Pno464:リオぴーさん
Pno476:もくずさん
Pno520:ヤグヤグさん
Pno568:フェルテウスさん
Pno600:マグノリアさん
Pno640:エリィさん
Pno664:ボイジャーさん
Pno742:ユーノさん
Pno781:ジュラエさん
Pno794:シャウラさん
Pno828:すずさん
Pno838:牡丹さん
Pno917:ロズさん
Pno924:ダルムズさん
Pno956:結馬さん
Pno962:素子さん
Pno964:アズテアさん
Pno976:アファイブさん
Pno1020:イルヤさん
Pno1033:ラティスさん
Pno1045:メルエットさん
Pno1093:ヨビスエさん
Pno1102:姉妹と仕立て屋さん
Pno1154:ノーチェさん
Pno1189:金獅子様さん
Pno053:六華さん
“「六華ちゃん、撤退するよ」
「そ、そうだね、このままじゃどうにもならないかも」
六華・黒葛原・ブランシュは一堂すみれの言葉に頷きその身を翻した。
六華達にとって、勝ちきれず、撤退する事はこれが初めてあった。
アトランドという新たな海域に入った途端に今まで見たこともなかった相手と戦い、自分達の力を出し切れなかった悔しさに、六華は思わず唇をかんだ。
六華自身、悔しく思うことに驚き、それがきっかけとなり最近引っかかっていたことを思い出していた
「なんのために戦うのか、か……」”
フィーナ「初めての撤退。この世界では敗北と一緒」
フィオ「以前に戦う理由について交わした会話が思い起こされて。自分もそれがわかっていればもっと上手くいくのかなと」
フィーナ「あくまで命令でやってるって考えだったみたいだからね。そこに意思が介入する余地はなかった、させなかったのかもしれないけど。役目を果たすもの、としてはそれも良いのかもだけど……」
フィオ「やっぱり自分の中でそれに臨む気持ちがないと、厳しいものがあるよね、きっと」
フィーナ「そんな六華さんは、自分で考えないといけないのかなと自らに問いかけるけれど……」
“普段はあまりしないが自分自身への問いかけをついしてしまう。
『そんな事はないと思うよ』
「……え?」
六華は自分の心の中から反論が出たように思えて思わず声を上げてしまう。
「六華ちゃんどうしました?どこか痛むんですか?」
急に変な声を上げたことに隣を歩いていたすみれが六華を気遣って声をかける。
「……な、なんでもないよ、ちょっと考え事をしていただけ」
「そうですか?ならいいんですが」
まさか自分の心の中から返事があったなどとよくわからないことを言うわけにもいかず、六華は話をはぐらかした。
そしてもう一度自らの心に問いかけて見るが、答えが返ってくることはなかった。
「……これが普通だよね、さっきのはたぶん気のせいだったんだよ」
六華は気持ちを切り替えようと頭を振った。”
フィオ「む、むー?」
フィーナ「なんか奇妙なことに。日ごろからストレスを感じている様子だったから、心配になるね」
フィオ「結局、負けた主な理由は、準備不足だったみたいだけれど、六華さんの心にはしこりがのこって」
フィーナ「悔しがっているのが違う自分のように……かぁ」
Pno061:クーリエさん
フィオ「前回バカンスへ向かったクーリエさんだったけど、想像以上に相手が弱くて拍子抜けしちゃった感じかな?」
フィーナ「他の探索では結構苦戦を強いられていた感じだったからね、でも、バカンスに向かったのは『本当の目的』があるからで」
“それよりもバカンスの本当の目的のことが書いてしまいたい、五月祭のこと。
実はチャコが持ってきた案内のチラシに、故郷でも行われていた五月祭を開催する旨の告知が載っていたことがバカンスへ行こうと思わせる決め手になったことだけは間違いない。ウィークリッチでの五月祭はそれはもう毎年盛大に行われるもので、それほどの規模がないにしろこの近辺よりはずっと大規模であることは簡単に予想が付き……そして、それはその通りだった!
出店していた昼の部の蚤の市は勿論、それを終えてからの五月祭も充分に楽しめたし何より故郷にある祭が形こそ少し変わっているもののここでも行われていることが少し……いや、正直かなり嬉しかった。どこから伝わったんだろう、元となるお祭りがどこかにあるのかもしれないけれど魔女史でもやった記憶がない、帰ったら資料館の人にでも聞いてみよう。”
フィオ「故郷のお祭りがこっちでも? というのは興味がそそられるよね」
フィーナ「明確に世界が分かれているわけじゃなければ、そういう文化が伝わっていてもおかしくはない。ただそれを頭で理解するのと、実際に見てみるのは全然感想が違うんだろうね」
フィオ「ということで『五月祭』を満喫して、色んな買い物もできたみたい。もちろん自分のお店の参考になるようなこと、探索の役に立つようなものも」
フィーナ「仲間にも新しい道具を秘密にしておくとか、お茶目さん。びっくりして虚を突かれないようにはしないといけないけど」
フィオ「報告書……まぁ、おまつりのことでいいんじゃないかなー。うまくこう、研究にからめて」
Pno066:シンテツさん
シンテツさんの見る『不思議な夢』それはどうやら『異次元館』のことらしく
フィーナ「海底のガチャガチャさんから貰った? 封筒を通してみているアレだね」
“
シンテツ
「なんだか不思議な感じだったすねえ」
シンテツ
「…(まじまじ)」
シンテツ
「この招待状を持っていたら」
シンテツ
「わすもあの不思議な場所へ行けるんすかねえ?」
夢に見たのは、
見た事のあるような
見た事のないような
古い道具や古い物が、うずと積まれた部屋。
そして、突然に現れた女の人。
彼女は一体何者なのだろうか…。
”
フィオ「それはまだ闇の中……なのかな? 結構怖そうな場所だったけど、行きたいんだね」
フィーナ「シンテツさんにとって、あの部屋はとても面白そうな場所みたいだからね」
フィオ「確かに発明のきっかけにはなりそうだけれど、出られるのかな」
フィーナ「だけれどそれはあくまで夢? の話。さて……今日もがんばって探索してくださいシャッチョさん!」
Pno068:クロニカさん
『ニールネイルの狩人』との遭遇。追われていることを理解したクロニカさん。その理由と、本人の判断は
フィオ「これからの接触をはかってくるであろうエイニさんのことを書き留める、ちゃんと覚えているために」
フィーナ「立場が完全にこっちとあっちだからねぇ、衝突は避けられない……かな」
フィオ「前回の会話では、ほんの僅かだけど何とかなりそうな雰囲気もなかったことは……って印象」
フィーナ「そもそも、何故こんなところまで居ってきているのかって話だけれど」
“ニールネイルは混血の一族だ。
あらゆる種と子を成し、多種多様の血を取り込み存続していく。
混ざる血の種類は多ければ多いほどいい。
しかし、異種族との交配ができる存在は、ニールネイルの中でもYと分類される者に限られた。
Yは、そう生まれる。基本的にはひと目で分かる、Yは――雄としてでも、雌としてでも、子を成せる。そういう形で生まれる。本人の自意識とは関係なく、子を作る立場では、両方として扱われ得る。
どうして、いつから――を、クロニカは知ることのできる立場になかったが、そう生まれた以上は、そう扱われた。
その中でもクロニカは特に孕み腹として貴重だった。
Yに生まれ、異種族の子を産み得るもの。ダークエルフの血を多く顕出し、それに耐えるだけの若さを長く維持できるもの。夢魔の要素として異種族の精をよく取り込めるもの。
複数の要素がほぼ自動的に、クロニカの立場をそういうものとして位置づけた。
多くのYは、”産む”よりも、”産ませる”ことの方が多いらしい。その方がある面においては手っ取り早いからだ。
つまり、血を取り込める者として個体数の限られるYが、腹に子を抱えて動けなくなることもなく、相手のいる限り、多くの子を増やすことができる。
効率的だ。まったく効率的だ。
だがそれだけでは済まない面もある。
まず、”産ませる”形で異種族の血を取り込むのならば、その種族の雌を長期間拘束しなければならなくなる。それが合意の上で進められれば話は早いが、そうでは済まない場合もある。
そういった穏やかならぬ展開に、一族の者がどう対処しているのか、クロニカは知らなかった。そういう現場に接することもなかった。
また母胎の――胎盤の側の問題もあった。ニールネイルの、Yの胎はある程度最初から、”そういう風にできている”。つまり、自分とは全く異なる特徴を持つ子供を育めるように。
しかしニールネイルに孕まされた者の肚は必ずしもそうではない。死産の率は、どうしても上がるのだという。
――だから。
クロニカの体質などは、一族にとっては、全く便利なものだったろうと思う。”
フィオ「一族の事情、存続していくためなら追われるのもわからなくはないかなとおもったけど」
フィーナ「でもクロニカさんはもう『使い物にならない』と本人は考えているんだよね、実際に子供は全て……だし」
フィオ「エイニさんもそのあたりのことをいわれて、ちょっと困っている感じあったしねぇ、非生産的……というのは言葉としては冷たいけれど、よくわかる」
フィーナ「だからこそ、こっちの海のほうがいい」
“それよりは、この海がいい。
どんなに不味い血を啜ったって、やたらに不機嫌な雇い主について回るのでも、この海の方がよかった。”
Pno077:リーヴィアさん
アトランドへと向かうリーヴィアさん、その海のイメージはかつて本で読んだもので、『人魚姫』そんな存在に彼女は思いを向ける
フィオ「いたらいいなって思うなら、多分きっといるよね」
フィーナ「いや、というか……」
“
所詮は、お伽噺だ。
リーヴィアとて流石にそれは分かっているが、しかし期待せずにはいられない。
だから、毎日泳ぎの練習を欠かさなかった。
少しずつ、泳げるようになっている。
早く――早く。
どうやらそれが、戦闘にも活かされているらしい。
相手が二回行動する間に、リーヴィアは三回行動することができる。
目標は、これを四回にすること。
そうして早く泳げるようになって、呼吸しないでいられる時間も伸ばしていって――
深く深く潜って、海中島を見つければ。
そうすれば、会えるかもしれない。
友達になれるかもしれない。”
フィオ「小さな期待のためにがんばって泳げるようになるなんてすごいね、相手より行動回数が多いってことは相手よりいろんなことが出来るってことだし」
フィーナ「ま、まぁ回数が多いのはいいことだよね、それにこんな世界の探索何だから、海中行動が自由なら自由のほうが良いに決まってる、けどさ」
“
ホーリー
「ん?
ロザリアネットって人魚じゃ……」
アイラ
「それは言わないお約束なのです!」
”
フィオ「余計なことは言わないのが華なんだよぅ!」
Pno084:アンテルテさん
“
<>×<>〜助手「ポット」のひみつ手帳〜<>×<>
---食材のメモ-てりわさ-ダツ-剥きエビ
---新しく仕入れたレシピの覚書き
---海の怪物-貝殻のかけら-えびの殻
---走り書きの、細々とした文字に紛れ、大きな生き物の絵。
---そして、大砲を抱えた海賊の絵が描かれている。
--「さあいこう!!
俺達の旅は始まったばかりだ!」
--ノートの中の海、
--大きな鬼と小さな鮫人
--背の高い助手と頼りないはかせが
---枠線の波間に揺られている…
(今日もラボは海をゆく…)”
フィーナ「ノートの中は冒険を記した小さな物語のよう、実際の波も枠線の波のように規則的であれば、多少は先が見通せるのに」
フィオ「でもそれはそれで退屈ってなりそうじゃない主にポット君が」
Pno121:サフィアさん
フィーナ「順調に探索を進めるサフィアさん、もう少し厳しい場所へ行ってもいいかなーと」
フィオ「そんな風にしてアトランドに向かっているんだけれど、どうやらレッドバロンのほうじゃなくて心底良かったと思ってるみたい」
“
極寒の世界だからでしょうか。それとも遥かな祖先に氷精が交わっているという伝承が事実なのでしょうか。
僕の故郷世界、ケカル・サンジュ生まれの人間は皆冷たい……あ、物理的にですよ?言ってしまえば低体温なんですよね。
ですので、一般的に暖かい・温暖と感じるような環境も暑い・熱帯なんです。
……普通の方々ですら熱いと感じるような場所、僕にとっては例えるなら安っぽい言葉ですが地獄の窯ですね……
”
フィーナ「育ってきた環境で、その後の適応が変化していくのは良く聞く話だけれど、寒い場所だと逆に体温が高い人が適応しそうだから、先祖の伝承のほうが正しかったりするのかも」
フィオ「そっちのほうがロマンもあるしね、しかし物理的に冷たいとは」
フィーナ「確かにそんな体質であんな場所を探索したら、相当きつい……じゃすまないだろうね」
フィオ「ただこれから向かうは暗いくらいアトランド。水温も下がって快適な探索となるのか?」
フィーナ「まだサンセットオーシャンとかいうヤバい場所が残ってる事実」
フィオ「そのときもシルバームーンを選ぶのかな、それともある程度克服することができているのか」
Pno138:キノイさん
物語の世界で共に過ごした三人が、闘技大会の場で思わぬ再会をしてから数日。
『海』の厳しさや、幾つかの不可思議な現象にも慣れてきた中で、ユーエさんは一つの問いかけを口にする
フィーナ「『本の中』と同じように前衛に立つユーエさん、だけどあっちと違って『対人』はそれなりに厳しいみたいで……」
フィオ「あきらめんなよぉ!」
フィーナ「負けるだろうなっていう分析が出来るのも大事なことだよ。少なくとも自分達と相手をしっかり見られているってことだから、その上で薄いと思われた勝ちを拾ったりもするかもしれないし」
フィオ「気持ちは大事!
それはそれとして、投薬(物理)魔法とは驚いたね」
フィーナ「世界の不思議だねぇ……多分私がそっちに行くことになったら、『何故か』魔力特化になっていたみたいな不思議」
フィオ「と、ここでユーエさんの唐突な問いかけが」
“「ねえ」
「ん?」
「楽しい?」
「……」
唐突な問いに、ダグラスは固まるしかできない。楽しいかと問われたらできたら早くこの大会には終わってほしいし帰りたいんだけど、久々に会う見知った顔と話をしたり飯を食べたりするのは楽しい。足したら、まあ、プラスにはなる。
「……まあ……楽しい、……ユーエとかアドと、一緒になんかできんのは、楽しいよ。なんで闘技大会なんか……とは思ったけどさ、もう会う機会なんて」
「そう、ならよかったのね!」
続けようとした言葉を遮って、ユーエがわっと喋りだす。
「わたしね、無理やりダグラス引っ張ってきちゃったから、その辺心配してたのよ、少し」
「少し」
「うん」
「少し……」
本の中の、一番記憶にある彼女より随分と短くなった髪を、当時と同じようにポニーテールでまとめている。その横顔に、ほんのり影が差す。
「わたしはまだ、まだ待ってるだけしかできないから……ずっとそれだけっていうの、正直ね、どうにかなりそうって思うけど、こうやって、息抜き……息抜きなのね?息抜きできて、よかったかなあって、思ってるの」
”
フィーナ「確かに無理やりに連れて行ったような参加ではあったけど、彼女には彼女なりの事情があったみたいだね」
フィオ「その言葉はすこしダグラスさんを揺らして。『まだ』状況は変わっていないのだけれど」
フィーナ「この機会は一つの奇跡なのかもしれないね、なおも静かに言葉を紡いでいくユーエさん。それが決して強いものとはいえなかったから、ダグラスさんは言葉につまる。でもその沈黙を破ったのもまたユーエさんで」
“「でねダグラス、今日もし勝てたらなんだけど、こないだウワッ高ッて諦めたお店に行くのはどうかしら!!」
「もしかしなくてもそれを言いたかっただけとかそういうオチだったりしませんよねユーエさん」
「しないのね!今日の相手がどう考えても負ける気しかしないからやる気を出してみたかっただけよ!」
もうちょっと、どうするか迷える時間はある。
あとちょっと、大会期間はそろそろ終わるだろう。
もう少しだけ、三人で顔を突き合わせて、どうでもいいことで笑えるのなら。
「……考えとくよ」
多少の財布のダメージくらい、きっとどうってことはないはずだ。”
フィオ「やる気をしっかりと持つのは大事だよね、美味しいご飯というのは、やっぱりいい人参だ」
フィーナ「普通のこと、どうでもいいこと、そんな小さな幸せは、きっとかけがえのないもの。勝敗は別にしてもその結果が良いものであればいいね」
Pno140:<<ネーレイス>>さん
ミユさんの日課である『お届け物』
案件の一つに疑問を抱いた彼女は、その受取人との邂逅をはたし、もやついた心中を晴らすべく、疑問を口にすると――
フィオ「実は何度かお届けしていたらしい『そのお相手』取引内容が不平等じゃないかとい疑うミユさんは」
フィーナ「ウミホタルさんがまとめている取引だけれど、相場を把握した今になると、どう考えてもおかしい商売になっているみたい、こっちが損をする形でね」
フィオ「釈然としない様子に『お相手』古き魔女のアニスさんが問いかける。存在自体が上位の相手にミユさんは一歩も引かず……」
“「あのですね」
その魔力に立ち居振る舞いに、そしてそれに裏打ちされる実力に、恐れおののくものも決して少なくないこの魔女に、気圧されることなく少女は口を開いて言葉を紡ぐ。
「ホタルさんとあなたがどんなかんじでどうしたのかまでわからないんですが、いくらなんでもこの頃お届けしている宝石やシェルコインの量に対しての、あなたから渡される量が少なすぎじゃないですか?」
少女の、七瀬美優の言葉には、怒気も悪意も嫌味もひとかけらたりともない。
ただ純粋に、疑問と意見をアニスへとぶつけているのみだ。
本来取引が締結しているなら、ウミホタルに任せた自分が口を出すべきことじゃない。
だが“モノに頓着しない”ウミホタルの性質を利用して、テリメインを渡るために重要な品々を巻き上げているなら話が変わる。
いくら外来者である美優にこの海の勝手がそこまでわからないとはいえど、この海を探索する鍵となるスキルストーンやチューンジェム、そして通貨であるシェルコインらを不当に巻き上げられているならば、合間に入ってとめたほうがいい。
この世界に迷い込んで2週間、潜水艦で寝食を共にしてもきた。
ウミホタルとの約束に背かずに護衛も料理もし続けているし、艦内外とわず悪い扱いも裏切りも彼ら彼女らから受けてはいない。
そも、結果的にはウミホタルらは美優にとってはいのちの恩人だ。不当に不義理を働かれているなら是も非もなく助けたい。
ウミホタルが言える間柄でも価値観でもないのならば、自分が出る幕になってくる。
小首をかしげるアニスを見、心のうちで「ごめんねホタルさん、いうだけ言わせてもらうね」と謝って
美優はさらに続けていく。”
フィーナ「いったねぇ……仲間のためとはいえミユさんらしい」
フィオ「続けて言うことも、不当取引なんじゃないかとしっかりいうこといってる。でそこにアニスさんの『虫』発言から火がついちゃって」
フィーナ「一気にボルテージ上がったね、仲間を馬鹿にされたと感じたのだから仕方がないといえなくもないけど、あ、斧はまずい、斧は」
“美優が言い放ち、しばらくの間。
「ふ、ふふっ……ははっ……」
美優を見、こらえ切れぬよう吹き出して、アニスが小さく笑い始める。
その様にカチンと来たか、美優の手のうちに展開される光の大斧。
その瞬間、大斧の刃にペンギンがぴゃっと跳びこんでは抱きついた。
「とめないでペンギンちゃん、ちょっとこのあの男ばりにド失礼な人にお灸をっ――」
「あ、あのですね、ミユおねーさん」
ぶんぶん振られるその体勢のまま、おずおずペンギンが切り出すのは。
「――ホタルさんは、あの、別に、ふとーされてるわけじゃないですです。
そのひとが置いて行かれないよう、自分たちの負担にならない範囲でいろいろ貸してるだけなんですー」
「……え?」”
フィオ「と、いうことで。ようやくの状況説明、ペンギンさんはナイス静止、いい飛び込みだぁ」
フィーナ「先走ったミユさんは……その、心中お察しします」
フィオ「ということで場面転換。めっちゃ謝ってるー!!」
フィーナ「アニスさんが物分りのいい人でよかった」
フィオ「それぞれに持ってる情報量が違ったからだね、笑い話で済んでよかった。ペンギンさんは今度からちゃんと伝えてあげてね」
フィーナ「ただ、ミオさんがはっきりと意見を言ったことから、すこし良いことが」
“ふたを開け、概略すれば何のことはない。
海賊行為のうちに捕まり、海底強制労働施設に送られ、そして出所した魔女アニス。
その出所直後から、彼女のフォローをしていたいう、ただそれだけのお話だった。
もちろんこの海を渡るための鍵を渡すのにタダとはいかない。されど施設に送られたアニスには代価となりうる品がない。
ゆえにウミホタルがこだわらぬ範囲で多くを渡すその代りに、幾ばくかの代行や便宜を手付とし、まとまり余裕ができたら順次貸付た分を返済していく、そんな約束だったという。
ウミホタルの声が聞こえぬ美優にしてみれば、目の当たりにしているのはアニスの余裕がない段階。
つまりウミホタル側の貸付のが多いときのものだから、ぱっと見『不当に巻き上げられている』と映ってしまったという話。
「しかしそうさな、我々――いや、お前のような人間の物差しで考えれば、借り受けているならばそれに応じた“利子”というものが要るものだ。ならばその“利子”に当たる品を今もう少し、払おうと思う。些少の時間はあられるかな、少女に海鳥に、貸主殿」
「え、あ。でも、アニスさんってシェルコインの余裕もなければ食糧もない、チューンジェムやスキルストーンだって全然持っていないんじゃ……」
「モノではない、そも我が持つものでは貸主である虫らに利がないからの。
我が今から払う“利子”は情報。かの海に関係する確かな情報じゃ」
そしてアニスは話し始める。
――海底強制労働施設で自らが体験した事柄を。”
フィオ「語られたのは、過酷で不可解な『労働施設』について」
フィーナ「そんなばかげたことが、そんなありえない話が、そんなことが起こりえるテリメインで、さらに異常を示す施設の内容。ただそこから見えてくるのは悪いことばかりじゃなくて」
“
――荒唐無稽な噂も宝も、実在する可能性が、あるということ。
――全てを統べ、願いを叶える魔法というものも、“ない”と胸張りいえる理由なんてどこにも存在しない、ということ。”
フィオ「期待は出来るのかもね。でも協会の影響下と思われる施設がこんな形だと、この探索で語られていない、隠されている何かがまだまだあるのではないかとも疑ってしまうね」
フィーナ「巨大組織は大抵怪しいからねぇ、大体ロザり……」
Pno178:ネリーさん
テリメインへと出現する『謎の渦』
オルタナリアとの関係も深く疑われるこの渦を調査し、魔物との戦いの最中に正気を失い、暴走したような状態に。
クリエさんによって最悪の事態は免れたものの、病院送りになったネリーさん。
眠りの底で彼女が見る夢は
フィオ「昨日は危なかったね」
フィーナ「探索者間じゃない人的被害を出していたら、お咎め無しというのは難しかっただろうからね」
フィオ「ネリーさんにも暗い影を落としそうだし、というかあの時点でかなり辛そうだったし」
フィーナ「『あの感じ』に自覚はありそうだったけど……昔の夢で何が語られるのかな?」
フィオ「ほほえましい親子の様子、だけどあれを見てからだと、お父さんの真剣な表情になにか隠れた意味があるんじゃないかなって思っちゃうよね」
フィーナ「そだね、そしてやってきた狩りの日」
“それからまたしばらく経ち、ネリーが初めての狩りに出る日がやってきた。
ネリー
「ほんばん、だぞーっ!
おけーこの、せいかを、みせるぞーっ!
がんばるぞーっ!!」
出発を前に、ネリーは威勢良く叫んだ。
大人が使うものに比べれば短めながらも、きちんと生き物の命を奪える銛を手にして。
水棲人の狩人A
「ネリーちゃん、いっちょまえにやってンなあ」
水棲人の狩人B
「あぁ。さすがは、英雄の娘さんってもんだ」
若い狩人が二人、ほほえましげにネリーを見て言う。
ネリーの父
「ネリー、今日は狩がどういうものか、見ておくだけでもいいんだ。
父さんの側、離れるんじゃないぞ」
ネリーの父はひときわ長く、立派な銛を持っている。
ネリー
「んゃっ。
おとーさん、みんな、いっしょに、がんばろーねーっ!」
水棲人の狩人たちは、それぞれ尾と身を曲げると、力いっぱい飛び出して、マールレーナの街から離れていった。
ネリーは父にしがみつき、勢いをつけるのを助けてもらった。
ネリー
「どこまでいくの、おとーさんっ!」
最初は力を借りても、その後は自ら泳いでいく。
ネリーは海のなか、必死に小さな体を動かして、父を追いかけていた。
ネリーの父
「もうすぐだ。声は抑えろよ」
たくましい肉体をくねらせ、ネリーの父は進む。
程なくして、相手を見つけた。
海の底のほう。平たくて大きな魚が泳いでいる。
ネリーの父
「見ていろ。一発でやるんだ」
ネリーの父が、銛を構えてみたかと思うと、その次にはもう魚のエラをきれいに刺し貫いていた。
目にもとまらぬ早業だった。
ネリー
「…… ……。」
ネリーは、銛を突き立てられ、命が抜けつつある魚を見つめている。
命が抜けている、ということには、臭いが伴うのだと、この時ネリーは知った。
命の臭い。血の臭い。
ネリー
「―――」
―――くえるやつの、におい。
ネリーの父
「……。」
ネリーの父の手から泡が膨らみ、海中に広がる血液ごと獲物を覆った。泡はそのまま縮んで、魚にぴったりとはりつく。
ネリー
「…… ……。」
ぼうっと、父の行動を見つめているネリー。
ネリーの父
「……ネリー」
ネリー
「!」
慌てて顔を上げるネリー。
ネリー
「ねっ、ねえ、なんで、あわあわでくるんじゃうの?」
とりあえず、という様子で尋ねてくる愛娘。
ネリーの父
「……血が広がると、獰猛な魚や、魔物が寄ってくるんだ。
この泡くるみの術、お前も覚えなくちゃあならないぞ。また訓練をしよう」
ネリー
「…… ……マモノ……」
ネリーの父
「さあ、きょうはこれで終わりだ。みんなのところへ帰ろう」
ネリー
「うゃ……もう……?」
ネリーの父
「また来れる。少しずつ慣れていけばいいさ」
ネリー
「……うん」
獲物をかついで、水棲人の親子はマールレーナの街へと戻っていった。
”
フィオ「お父さんの見事なお手前。でもやっぱり」
フィーナ「うーん、これはお父さんは何かを知っているのかもしれないね、もちろんあの術は狩りをするのに必要なものだからそこはおかしいことでないんだけど」
フィオ「全ての水棲人に現れる現象ってことじゃないのかも? ネリーさんの出自になにかあるのかな」
フィーナ「そして初の狩りは終わり、それからも色々と仕込んでもらったネリーさん。s力も技も強くなるにつれて、狩りに出たくなってきたみたい」
フィオ「身につけたものを使ってみたいというのはわからなくもないんだけど……」
“
ネリー
「…… ……。」
父に内緒で、毎日研いでいた銛を取り出し、マールレーナ周辺の海に出る。
ネリー
「……!」
やがて、ネリーは見つけた。
自分よりも幾分大きな魚が、海面と底の真ん中あたりで、小魚の群れを追い回しているのを。
ネリー
「……やるんだっ……!!」
銛を構え、ネリーは勢いをつける。
最初の一撃はかわされた。突然の襲撃に魚たちは驚き、海は一気に慌ただしくなる。
ネリー
「……わたしだって……っ!」
再び、突きを繰り出す。かわされる。
ネリー
「……わたしはっ……!」
何度目かの攻撃は、獲物の身体をえぐった。
血煙が、ネリーの顔を覆う。
ネリー
「――― ―――。」
―――わたしは―――。
ネリー
「……ガァアアァアァアーーーーッッ!!」
ネリー・イクタは豹変した。
銛を放り捨て、出血する獲物に、素手でしがみつく。
そして、幼い牙を突き立て、肉を貪った。
餓えた猛獣か何かのようだった。
その時、外からネリーを見ていたものは、だれ一人としていなかった。
”
フィーナ「誰も見ていなかった、ネリーさんの中に眠る記憶。自分を見失った、きっと最初の記憶」
フィオ「やっぱりまずかったのかなぁ」
フィーナ「どうなんだろう、お父さんはちゃんと技術を仕込んでいたようだし、狩りに従事することになる以上、いつかはありそうなことだったと思う、もちろん内緒で出てきちゃったのはまずいけど、どうにかする方法はきっとあるんじゃないかな」
フィオ「夢は終わり、クリエさんも病室にいて」
フィーナ「看護師さんマジ天使」
フィオ「あんな姿、実際に見たらかなり怖かったとおもうからねぇ」
フィーナ「雨の終わり、次に見えてくるのは」
Pno216:海底のガチャガチャさん
【ごくろうなすず】
ある町で行われる儀式『誘拐の儀』
生まれてきた子のしあわせを願いのって行われるそれは
“(情景。地上から見上げる建物の屋根)
(不規則にそびえ、ひざしをあびて金色に光っている。)
(まばゆく甘いあかんぼうのぐずり)
(午睡)
(吹き抜けた風、たなびく水面。水路の水、はためく織旗)
(鈴の音)”
フィオ「本日は快晴なり、絶好の儀式日和」
フィーナ「雨天だと祭器具の設置にも支障がありそうだし、歩き回る人が風邪を引くかもしれない、何より赤ちゃんへ負担をかけちゃいけないよね」
フィオ「町のあちこちに円を描くように祭器具を設置して、対象の赤ちゃんを一度捨ててしまう。そこからが儀式の始まりになるわけだけど
赤ちゃんの家族の人は緊張するだろうね」
フィーナ「後にでてくるけれど、この儀式を完遂できるかどうか……がかなり大事だからね。普通に考えれば、ただこういう儀式が普通にある地域だと、もっと違った印象を持つのかもしれないね、そのあたりはわからない部分もある」
“そうしていくつか数を数えたのち、事前に約束づけた否血縁者のだれかがその子をひろうのだ。
そして、祭器具をひとつみつけるまで、その子を抱えて街をかくれ歩く。
祭器具にはそれぞれ意味があった。象牙の器は食べ物に困らないように、
儀式人形は愛情に恵まれるように、金の槌は富を築くように…
祭器具を一つ見つけると、それとひきかえにその子をその場に捨ててゆく。
捨てられた子供を、約束づけた別の誰かがまた拾い、別の祭器具を探すまで歩く。
それをゆうぐれのおとずれまで行う。
空があかくなる前に、いくつの祭器具をみつけられるかで
そのこの一生の運勢は決まると信じられていた。
約束は暗黙で不可視のものだった。
くじばこのなかに持ち場のかかれた紙が入っていて、だれがどの持ち場を担当するのかは、
だれもしらないのだ。どこでだれのせいで赤ん坊が失われたとしても、それはわからない。
しかしそんな心配は無用だ、なぜなら――
逆にこの儀式を完遂できないこどもは、遅かれ早かれ人の輪からはずれる。
儀式は、出生後の最後のうみわけの瞬間であり、それには失敗というものはなかった。”
フィオ「儀式は次の段階へ。先の幸せを意味づけられた祭器具たちを探し拾い歩くわけだけど。当然配置をした人とは別の人が選ばれるのだろうね、円の形をしているのは知らされているのかな?」
フィーナ「『儀式の意味』は重要だから承知しているんじゃないのかな。ただそれを知っているのなら、次の器具は見つけやすいものになるはずだね」
フィオ「……失敗がない、と言ってもやっぱり怖いものではあるよね」
フィーナ「だけれど、『ごくろうなすず』がある」
“私は私を箱から取り出した、まるまるとした男の家族を見た。
どの顔にも面影があった。在りし日、どのこどもの運勢も私がよびこんだというもの。
どれほど赤ん坊が泣き疲れようと、どこか見つかりにくいところにいってしまったとしても
わたしはからん、かららんとその身をゆすって、
約束した人間が赤ん坊を見つけられるよう誘導し続けた。
あらためて、私は赤ん坊の雲のようにふわふわで不定形のうでにまかれた。”
フィオ「祭器具の一つって認識でいいのかな、拾うべき人をいつでも、どこでも呼びよせてくれる」
フィーナ「そうして助けてきた人々が、次の世代のためにすずを呼びにきたわけだけど、今回の儀式も上手く行くのかな」
Pno219:アウラさん
新術の開発や装備の拡充も順調なアウラさん。
ただその中でも重要な役割を持つ『ダーガリアリング』のリスクは取り除かれたわけではなくて……
“ バーストマジックのスキルストーンの練成には成功した。チューニングも問題ない。
これならこの世界の海の中でも先日成功したマグマの翼を作れるだろう。だが、まだ少し問題がある。
アウラ
「スキルストーンとターガリアリングの魔力を融合……」
アウラ
「……っと、また失敗か。全く、扱いが難しいな」
リングを強化する際にノーブルヴァンパイアの強大な魔力を使っているのだが、その副作用とでも言うべきか。
魔力を増幅するバーストマジックの力とあわせると、こうも簡単に邪悪なる力を露出させてしまう。
耐えられないことはないし今のところはすぐに押さえ込めもするからいいが、この先もそうできる保証はない。
”
フィオ「ちょっとしたことで邪悪な力が漏れだすんじゃ、ほうっておくわけには行かないものね」
フィーナ「邪悪な力も意に介さない人ならいいのかもしれないけれどね」
フィオ「それ大丈夫な人なの……?」
フィーナ「大丈夫の定義による。まぁそれはそれとして、アウラさんはその力を押さえ込むべくルイーザさんにお使いを頼んだみたい」
フィオ「邪悪な力を抑えるために聖なる力を用意する……か。なんかその場しのぎに見えなくもないけど」
フィーナ「そのあたりはルイーザさんも心配してるみたいだね」
“
ルイーザ
「理由は判りますが……陛下、シュウェアヴェーターではダメなのですか?聖銀で出来た刀身を持つ細剣なのですから、その力を使えばよいのではないでしょうか」
アウラ
「それはダメだ。シュウェアヴェーターの力は魔法の触媒として使いたいんだ」
ルイーザ
「…………。陛下。差し出がましいようですが……聖銀の剣を持っていても安心できないようなクラスの邪悪な力など、手を出すべきではないのではないでしょうか」
ルイーザ
「いくら強くならねばならないとは言え、余りにも性急に過ぎるのでは――」
”
フィオ「うーんやっぱり、抱えるリスクが大きすぎるんじゃないかな……」
フィーナ「アウラさんは心配を一蹴して、命令に従うように言ったけど、焦っているのは間違いないだろうね
だけれど少しでも早く強くならなくちゃいけない。そういう状況におかれていて、それを自分に課すのなら、外野から言えることはもうないんだよね」
フィオ「せめて悪い方向に転がらないように祈るだけ、かな」
フィーナ「近しい人が上手く調整してくれるならいいんだけど……」
Pno244:エリザさん
水にエリザさんのトラウマ。本当の原因を探る記憶の旅は一つの出来事にたどり着く。
起きてしまった事件、その裏側にあるものは
“『エリザは………セヴェーロ、俺達が居ない間に何があったんだ?』
『彼女は……そうだね、この子の両親であるなら、きちんと知っていた方が良いのかもしれない』
『エリザ……嗚呼、こんなに冷えて……真夏なのに』
『……フリッツ、シルヴィア、こうなってしまったのも全て【天界(こちら側)】のミスだ』
『…待って、この子が握っている水晶花って……』
『シルヴィア、無理に取り上げない方が良い。 ……セヴェーロ、この子は既に【魔力持ち(候補生)】って事か?』
『……いや、それだけならまだ良かったんだけど。 彼女の魂は【特別】なんだ』
エリザの魂を所有していた存在……平たく言ってしまえば、【前世】のような物に当たる人物は、人魚だった事、
彼女は本物の魔女ではなかったが、【海の魔女】と呼ばれる程に魔法の扱いに長けていた事、
天界の学校を卒業した後はルチーリアに留まり、世界中の水辺を転々としてきていた事、
そして、在学中の頃からアテナ様の友人であった事を話す。”
フィオ「傷心の両親を前にセヴェーロさんが因果を語り始める」
フィーナ「『こちら側のミス』というのは、死んでしまった後に、魂をちゃんと浄化できてなかったって事みたい。記憶を引きずっていないのはいいことなのかもしれないけど」
フィオ「両親と認識している。ってのはちょっと冷たい言い方に聞こえるけど、まぁしかたないか」
フィーナ「予期せず引き継いでしまったものの所為で、悪いもの『妖魔』に狙われるし、水の精霊にはやたらに好かれるとか」
フィオ「そういうのも『学校』に行ければ何とかならないこともないんだろうけれど、まだ幼い身だからねぇ」
フィーナ「フリッツさんとシルヴィアさんは『学校』は出ているものの、地上に帰ったために今は力がなく……というところで」
“ 『……アテナ様達から、二人に言伝がある。
【我々が動く事は今は適わず、故にこれは特例である】……と』
そう言って、懐から赤いハイビスカスを模した水晶の花と、紫がかった睡蓮の花を模した水晶の花を取り出す。
『……セヴェーロ、これは……』
『まさか、私達はあの時、地上に帰る為に魔力を封印して……』
『そう。 地上に帰った人間に、育った【この魔力】を戻す事は本来あり得ない事なんだ。
二人なら、きっと間違った事には使わない、とあの方々が判断したから』
僕はそれを持って来ただけ。
そう言いつつ、フリッツにハイビスカスを、シルヴィアに睡蓮を押し付ける。
元々の持ち主に触れた水晶花は少しして弾け、光となって二人に吸収されていった。
『……君達の子供が危ないからとか、アテナ様は二人と仲が良かったから、って最初は陳情しにいったとか、そう言う事はないから』
『……御使いが主神に陳情しに行くのか』
『してないから』
戻って来た力を確かめるように、光球を作って動かし始めながら笑うフリッツに、かぶりを振る。”
フィオ「セヴェーロさんGJだね」
フィーナ「陳情しなくちゃならないとは大変ですなぁ」
フィオ「何はともあれ、これで護る事は出来そうだし、事件の本当の原因もわかったわけだ」
フィーナ「悪い精霊が居なくてよかった。とはいえ事件と共に封印してしまった自分の魔力を取り戻すのは、大変な道になりそうだけど」
フィオ「原因を知っただけじゃトラウマを取り除くにはちょっと弱い感じがあるよね」
フィーナ「ま、優しい両親もいるし、陳情してくれる人もいるし。『学校』に入るまでは安泰でしょう、きっと」
フィオ「そこからは、エリザさん自身ががんばっていくしかないのかなぁ、やっぱりテリメインで水が苦手ってのは、厳しいものがあるよね」
Pno414:神徒さん
フィーナ「なんともいえないって、結構多くの場面で遭遇する感情だと思うんだよね」
フィオ「そう?」
フィーナ「目的には届いていないけど、まぁぞこまで悪くないかなぁとか、逆に最悪ではないけれど、まぁよくもないよねってときとか」
フィオ「どちらかに振りきれるってことは案外すくないのかもね」
Pno428:エルゥさん
探索の合間、テリメインへと迷い込ませる原因となった『門』を再び訪れたエルゥさん。
以前は目覚めていなかった瞳の力。その視界が『門』に見せるものとは
フィーナ「同じものを見ていても、単純に視力の違いとか、感性の違いとか、知識の違いとかで、そこに見出すものは微妙に変わってくる。
同じヒト同士でさえそうなのだから、ヒトではないものなら当然見えるものは……。といった導入」
フィオ「名探偵が証拠を見落とさない……のとは違って、エルゥさんの左目は特別だからね」
フィーナ「あのときは治療のために役立つことになったけど、今回は果たして」
“息を詰める。目を凝らす。来るぞ来るぞと覚悟を決めて受け止めた激しい波は確かに意識を強く揺すぶったが、今の所はそれだけだった。ただ気怠い疲労感だけが一瞬で通り過ぎた奔流の爪痕を確かに刻んでいる。とはいえ、その負荷の具合は想定したよりもまだ軽くて、その事に気が緩みそうになる。
(ダメ……)
一瞬振れそうになる視界。しかしそれを自らの意志で固定する。今は揺らぐ時ではなく、気を緩めるべきでもない。改めて大きく息を吸ってそして吐いた。落ち着いていく精神。研ぎ澄まされていく感覚。広がっていた眼前の《海》は確かに静けさを取り戻したようだった。”
フィオ「ものすごく慎重に扱ってるね。下手を踏むと滅茶苦茶に痛い思いをすることになるからだろうけど」
フィーナ「ちょっと後でもエルゥさんが言っているけれど、この負荷は尋常じゃないよね、やっぱり何で左目がこうなっているのかって気になるところ」
フィオ「目の前の『海』。でもそれはテリメインの一般的な海とは違って、ごく少人数しか認識できない特別な海のこと」
フィーナ「エルゥさん意外はヒトなのかも怪しいけど」
フィオ「まぁね、モノがモノだけに。で、どうやら『門』を再び訪れているみたいだね」
フィーナ「なにがしかのアクシデントでそれが損なわれないかと心配していたみたいだけれど、どうやら杞憂に終わったみたい。
冷静に考えればその目的のために訪れる必要は無かったかもしれないけれど、確認すると落ち着くってのはあるよね」
フィオ「まぁでももう一つの目的、こっちがメインじゃない? 何か手がかりを……と」
“ その《門》の前に立つエールステゥは左の瞳で周囲を見回す。
青い空と青い海、そしてその中に立つ黒い《門》。その全てに薄っすらと紗がかかっている様な、そんな光景が視界には広がっている。まるで景色そのものが絵画になってしまった、そんな現実との乖離感……とでも言えば良いのだろうか。現実味が遠ざかる中に、まるで静かに打ち寄せては遠ざかる波の様に淡く煌めく無数の文字とも図形とつかない何かが蠢いている。
目を凝らしてもそれは解読も出来ない謎の記号でしか無い。その筈だ。様々な古代言語を仕事柄身につけているエールステゥの知識のうちには、少なくとも存在しない何かなのは確かだった。
それだというのに何故だろうか。意識を集中させればそこに蠢く記号らしき何かが何を示しているのかが判るのだ。まるで前々から知っていたことを改めて思い出して行くような、頭の奥底から中身が引きずり出されるようなそんな気持ちの悪い感覚と共に。
「……ッ、やっぱりこの眼……便利だけど負荷が大きすぎる……ッ」
普段はその力を発揮しないようにと暗示をかけているが今は少しだけそれを解いている。だというのに、コレほど気持ちが悪いとは。慣れがないだけなのか、それとも副作用なのか。不快感に眉根をしかめつつも瞳を通して流れ込んでくるその情報を何とか意識して選別し、必要なものだけを拾い上げようと試みる。
左目が覚醒した謎のこの力を利用して、《門》についての情報を得られるのではないか。そんな事を思い付いたのはつい数日前の事だ。少しずつ暗示のかけ具合を自在に調整出来る様になったという事や、探索行も程度安定期に入ってきたというのがもう一つの理由でもある。一度訪れた先も、再度訪れた時に何か気づくことが出て来るかもしれない……という一縷の望みもあった訳だが。”
フィーナ「ストーップ! ストーップ!」
フィオ「こういう系統の能力って押さえが利かないとこんなに厄介なんだなぁ……」
フィーナ「それをフィオが言うのはどうなの?」
フィオ「反省はしてる。でもほら人が多いところで使わなければ、エルゥさんみたいな状態になることもないからね、フィーナは運がいい」
フィーナ「……ま、いいや。
エルゥさんの見ているこの『海』は多くの、多すぎる情報を内包しているのは確かで、それに集中することで、知らないはずのものが解読できちゃいそうなのが怖い感じだね」
フィオ「トゥク・トリさんとの話にでてきた。徒渉る神の目≠竄チぱりヒトの枠には収まらないような代物だよね」
フィーナ「で、どうやら観察対象が強すぎた? 複雑すぎた? みたいで、『感じ取れる情報量が多すぎる』とのこと」
フィオ「逆に絞ると抽象的過ぎてダメ、と。八方塞だね」
フィーナ「今のところはどうすることもできない感じだね、課題は見えたけど」
フィオ「撤収撤収ー。漁師さん、ほんっとうにやさしいのな!」
フィーナ「唐突に頼っても毎回手助けしてくれる……これは重要キャラクタの予感」
フィオ「そしてエルゥさんが見たものについての感想と……」
“「世界を多層化して見せる瞳……ね。出処は謎だけど、コレのこともそのうち調べないと……かな」
こうして暮らしている世界の上に上からかぶさるように広がる薄暗い蒼の世界。
左目から視えた浅く冷たい海の底に居るような、そんな気配を感じる景色を思い出して険しい表情を浮かべるエールステゥ。波の音も潮の香りもしなかったが、あれは確かに《海》だった。ただしそこに満ちているのも泳いでいるのも不可思議な記号の塊たちだけで、生き物の気配は欠片も見当たらなかったけれど。
言うなれば、アレは《情報の海》とでも言えば良いものなのだろうか?
元の世界に戻るための手段探し。当初の謎はそれだけだった。だが、今は違う。エールステゥを悩ませる新たな謎をこの世界で解き明かそうとするならば、きっと自分だけではどうにもならないのだろう。
「ヴィーズィー……貴女はどこまで知っていて、私に何をさせようとしているの……?」
海竜の手助けにとエールステゥを差し向けたのは、この眼の力を確信していたからだろうと蒼のトゥク・トリは言っていた。ならば、ヴィーズィーは全てを知っているのだろうか。去り際の海竜は敢えて何も言わず立ち去ったが。”
フィーナ「覚醒の機会を作ったともいえるヴィーズィーさんの存在。トゥク・トリさんを助けるためだけじゃなくてもっと大きな思惑があったのかな?」
フィオ「まとめ!
今回は『瞳』と『門』のお話がメインだったね。これからどうするのかもきまったわけだけど」
フィーナ「『瞳』の制御は思ったより上手くいっているみたいでよかった、使いこなせているわけじゃないけれど、日常茶飯事的に暴走してたら生活もままならないだろうし」
フィオ「暗示がきちんと効いてたね」
フィーナ「『門』に関しては現状では空振り。とはいえ『知識を深める』『瞳の制御をさらに上手くやる』という目的ができた」
フィオ「見たものと合致するような資料をあさる感じになるのかな、見たことがない文字となるとかなり難しくなりそうだけど」
フィーナ「『瞳の制御』については訓練次第って所かな、気づいては居なかったにしろ、自分の器官だしね」
フィオ「さらに『ヴィーズィーさんの捕捉』これは難しいのか、それとも簡単なのかわからないね」
フィーナ「あっちから出向く可能性もないわけじゃなさそうだからね、敵対するってことはなさそうなんだけど、胡散くさいんだよなぁ……」
フィオ「でもそれを成したときは調査の進展も期待できそうだよね、捕まえてからも大変そうだけど」
Pno464:リオぴーさん
自分達の探索などに活かす為、多くの戦闘記録を調べているリオぴーさん。今回を目をつけたストームレインに跳梁する海賊『ガルガンボルグ』だった。
その中で気になったこととは
“ガルガンボルグ。
そこそこ名の通っている海賊――いや、私は知らなかったが…らしい。
こいつの海賊団とやらは、我々の実力でも全く問題ないだろう。
そもそも出没したのはストームレイン付近と聞いている。
アトランドに歩みを進めている我々とはわずかにルートが違う。
問題なのは…この海賊団の航海士。
海賊達を取り締まる理由の一つに、『免許が必要なスキルストーンを不正に使っている』
というものがあるらしい。
海底探索協会のおためごかしはどうでもいい。今は問題ではない。
ともかくこいつらが使っているスキルストーン、その一つが危険なのだ。”
フィーナ「当然ながら海賊もスキルストーンをつかってくるよね、さて何が危険なのか?」
フィオ「『ブラックアウト』らしいね。空気を奪取してくるやつ」
フィーナ「海中での空気は死活問題だからね……スキルストーンでそのあたりを何とかしているとはいえ、そこにつけ込むのも見つかったんだ」
フィオ「で、さらに問題としているのが『防ぐ手段がない』ということと『誰でも作成することが出来るかもしれない』というところ」
フィーナ「あーうん。これは確かに憂慮すべき事態だ」
フィオ「今のところ襲い掛かられるような事態にはなっていないけれど、これからもそうだとは限らないしね、簡単に強い力を手に入れられるとなれば、それを組み込んでいくのは当然のこと」
フィーナ「だからこそリオぴーさんは考え、決断する『受けられないなら避ければいい』
」
フィオ「動かないで大火力をぶちかます。という本来のスタイルとは大きく違うけど、世界に適応し、3人での探索を円滑に進めるための見事な決断だね」
フィーナ「上手くいくかわからない、けどやるしかないよね、心配事は……まだまだあるし」
“探索者同士の戦いは、目下のところ闘技大会と練習試合でしか起こらない。
我が覇道の邪魔にはならない。
…目下のところ、であり、アトランドの先まで海底探索協会が目を行き届かせる保証はないが。
原生生物もスキルストーンを使う事例がある。
テリメインの原生生物は(当然ながら)空気を必要としない者が多い。
その者達がブラックアウト相当の魔術を行使してきたら――
そこに思いを至らせると、対抗手段は考えておかなければならないのだ。”
フィオ「まとめ! 今回はブラックアウトとかいうやべーやつ」
フィーナ「強い技、強い装備、強い戦略。こういう世界ではそういうのが現れては一定期間大暴れする(一定期間とは限らない
そういう種に対して、対策を講じるのは必要なことだよね」
フィオ「リオぴーさん、考え方が柔軟だよね、強情な部分もあるけれど、今回みたいに自分がサポートに回ることもいとわない」
フィーナ「補い合うって大事なんだよ、一つの戦略にこだわって、太陽に焼かれ続けた子もいたらしいし」
フィオ「はい、その話はおわりっ、ここまで!
上手くいくかどうかはわからない、でも意識して行動しなければ、偶然の幸運に頼るだけになってしまう。だからこうするって決めたことは大事なことだったとおもうな」
Pno476:もくずさん
いつものようにつかみどころのない会話をしつつ進む一行。アトランド海上に拠点を設け、いざアトランドへ。
だけれど予期せぬ出会いがあったようで
フィーナ「アトランドへの道と、良く似た名前の別の場所」
フィオ「バトランド……いったい何クエなんだ……」
フィーナ「それにしても二人の漫才がツーカー過ぎてほほえましい」
“ こんなことを説明されなければわからない王宮の戦士はよほど問題があるにちがいなく、お前はあいかわらずのろまだなと言われている理由もわかろうというものだがもくずとかけるが遊んでいる姿にやっぱりゾーラは首を傾げていた。重ねていうが彼らがこれから向かう先に控えている海域はバトランドではなくてアトランドである。
そのアトランドの遺跡は先日まで彼らが探索をしていたセルリアンの朽ちた遺跡群とはいささか様相を異にしている。都市そのものが海中に存在している様子は変わらず、様々な建造物があちらこちらに密集してそれらのほとんどが海藻や魚のすみかになっているところも変わらない。だがそうした建造物のところどころから様々な色をしたほのかな光が漏れているのが見えて、それがスキルストーンや原生生物によるものなのか、あるいは打ち捨てられたはずの遺跡そのものが光を発しているのかは分からないが少なくともここには「現在も活動している何か」の存在を感じさせた。
海上に浮かべているゲルの座標を固定すると、かけるが仰向けに水に落ちてどぽんという音と一緒にしぶきが上がる。吊るされていた潜水艇も水に下ろされて、タコともくずを出迎えたゾーラが海中で身をくねらせた。探索拠点に万一のことがあってはいけないから、調査区域よりもかなり遠いところにゲルは待機させておかなければならず、まして初めて訪れるアトランドで先行する探索者たちもまだ決して多くないとあってはなおさらだったろう。わざわざ海の中まで探索に訪れる理由はといえばヒトそれぞれだったろうが、さまざまな謎や秘密、そして財宝が眠っているかもしれないと思えば今は手つかずに見える建物たちもすぐに踏破されてしまうのだろう。それではでっぱーつとばかり、頭の悪い声をかけようとした海中に声が響く。
「なんでうみのもくずからイワシがー!」
「んー?」”
フィオ「そして、アトランド。セルリアンに隣接するほかの二つの海と違って、劇的といえる変化はないけれど。あ、いや海中島は十分劇的なんだけどね。やっぱり何か妙な雰囲気がある」
フィーナ「心には余裕を持ちつつ、行動には手を抜かず。ある程度慣れてきているとはいっても、まだまだ未知の海であることは変わらないからね、それがいつまで未知なのかはわからないけれど」
フィオ「いざ! というところで王宮の戦士を呼ぶ声……じゃなかったみたい」
フィーナ「先に行く人は少ない、といってもここはまだ外縁だし、同じようなタイミングで探索を始めている人たちが居てもおかしくはなかったね」
“呼ばれているのかと思ったがそうでもないらしく、声が聞こえたほうに向けてタコとヘビと潜水艇がゆっくりと近付いていく。海中島の海と呼ばれるアトランドの奇景奇観にたどり着くには遠く、見通しのよい海域ではお互いを見つけても近付くまで時間がかかるから無駄に急いでも仕方がないことを思えば悠久に生きるインド人のようにおおらかに振る舞うのも仕方ない。はたしてもくずやかけると同年代らしい二人連れの姿が見えてくるが、一人はシーウィードという海藻人間の娘で、特徴的な黄緑色の髪の毛を横でしばっている。もう一人は女性ものの水着を着てに長い金髪を結んだ格好をしているが、こちらに気付いて親しげにかけてきた声は男の子のものだった。耳の先が伸びてとがっていて、この子も人間とはすこし違った種族らしい。
二人連れは黄緑色の髪の娘がわかな、金髪の男の子?がテーラと名乗る。ちょうど今しがた原生生物を追い払ったばかりでしばらくは襲ってこないだろうが、あちこちでうろついているから気をつけたらえーでとどこか関西弁ぽい口調でテーラが歯を見せている。大きな剣のようなものを背負っているが、殴るのではなくスキルストーンがはまっていてこれで術を使えるらしかった。もう一人のわかなは槍を手にしてガード&アタックを受け持っているらしく、二人で外海を越えているのを見てもよほどコンビネーションがよいのだろう。”
フィオ「テーラさん。一体どっちなんだ……。というところも気になるけれど」
フィーナ「もくずさんによくにたもずく、じゃなくて、もくず。が居るのはいろいろ厄介かもしれない、主に文字の見た目の問題で」
フィオ「声として聞いた場合も一瞬どっちかわからなくなりそう、この海域での個人的な注意点かな」
フィーナ「そして広がるタコの輪」
フィオ「似た様なセンスをもっているとお近づきになりやすいかもね、それにしてもイワシだったかぁ……」
フィーナ「この海でもあまり強い存在ではないんだろうね、だからこそ擬態して何とか生きようとしてるんじゃないかな、あ、でも戦闘で厄介になるなら許されざるよ」
フィオ「小さな情報の交換、これがこの先大きな違いになるかもしれないし、ならないかもしれない」
フィーナ「とりあえずモーターボート用意しようぜ」
フィオ「二つのパーティは分かれ今度こそアトランドへ
新しい場所、未知への挑戦。決してそれは平坦な道ではないし、むしろ困難にあふれた道であろうけれども」
“アトランドの海中島はまだ先で、遺跡の姿も遠いがセルリアンを出立してから現れる原生生物たちもそれほど凶悪な輩には出会っていない。わかなやテーラに話していた通り、もくずたちは調査範囲をもっと深層の海域まで広げるつもりでいてそのためのルートを探しながら海域の外縁部をゆっくりと移動し続けている。ゲルのソナーから遠隔で送られてくるおおまかな地形情報に従って、彼らがこれから挑むための道を探す作業は登山家が山登りをするルートを探すのに近いかもしれない。
山を登る人にどうして山に登るのかと聞いても意味がないように、どうして海の深く深くを目指して潜るのかと聞かれてもあまりはっきりした答えは返ってこないだろう。ゾーラは協会から紹介されて子供たちの面倒を見るのがお役目だった筈で、かけるは彼が制作したタコデバイスの実践データを集めるのが目的だった。もくずはどうかといえば穴があったら潜りたいとばかり何も考えていないように思えるが、であれば少なくとも「もっと深くに潜ろう」というのはもくずが言い出した話にはちがいない。たとえそれが何も考えず気軽に掲げられた目標であったとしてもである。
「よしおおぞらかける、景気づけにいっぱつお前を殴る!」
どうしてそうなるかは分からないが、見たこともない世界にたどり着いて仲間たちと一緒に潜る、そして仲間だけではなく同じ道を歩いている友人が他にもいるのであれば実のところ難しい理由も理屈も必要ないかもしれないのだ。みんなで挑戦する、少なくとも今はそれで充分かもしれない。
海底に差し込む光を照り返しながらゾーラが海底に身をくねらせて、歩くよりも泳ぐのに慣れたかけるがそれに続くように水をかく。きこきこと音をさせた潜水艇が後を追いかけて、タコとヘビと潜水艇が進んでいる先にはアトランドの島々が待ち構えていた。”
フィーナ「まとめ。新しい海域ではあるけれど、軽口を飛ばしあってたね。いつも通りでいいことだ
それにしてもアトランドとバトランド。名前が似ているのだから何か共通点があるのでは……」
フィオ「いつも通りだけれど、締めるところはちゃんと締めていたしね。奇妙な風景にばかり目がいきがちなんだけれど、『得体の知れないモノ』が潜んでいる感が強いんだよね、アトランド」
フィーナ「島が視界を引き付ける部分もあるからね、見晴らしがよくないってなると、色々想像してやっていかなきゃいけないことにもなる、もちろん本当に何かが潜んでいるって可能性も捨てきれないけれど」
フィオ「そして新しい出会い、やっぱり年代が近いと思われる人たち同士だと親しみやすいところはあるみたいだね」
フィーナ「テーラさんってどっちなんだろ……気になる」
フィオ「もずく酢となまこ、これは実質……! って感じ」
フィーナ「ジッサイタコカワイイ」
フィオ「出荷よー」
フィーナ「島のほうから響く音、気になるね」
フィオ「でも本当にアッチ関係だとしたら、聞いちゃいけない音のような気もしなくはない」
フィーナ「最後に、潜ることに関して
仲間の存在というのは大きいと思う。一緒にいて共に困難に立ち向かう。それだけで案外面白いものなんだよね」
フィオ「それにほら、かけるさん達は、出来るだけ遠く、彼らを知る人がいないところまで潜っていかないと、だからね」
Pno520:ヤグヤグさん
ヤグヤグさんからの依頼を受け、図書館で資料集めを行うハンスさん。でも心のうちはここ数日に起きた変化と、この依頼がそれに伴ってハンスさんを遠ざけようとしているのではないのかと……
フィーナ「ここ最近の変化。生物の観察をしたいと巨大水槽が運び込まれ、どうやらその『生物』を確保することにも成功したみたいで、でもその姿をハンスさんは見て、いや見せてもらっていなくて」
フィオ「……あ」
フィーナ「前回のこと。を考えると多分そうだよね」
“彼の部屋をノックした際、窓が締め切られ、
作業台に灯されたランプだけが部屋を薄く照らしているのを見た。
海深くに棲む種であるから、光が苦手なのだと言った。
それから、音を嫌うので立ち入らないようにと、彼は自室に鍵をかけた。
そうして、水槽の様子と彼の部屋の中の様子は、自身の知る外に追いやられたきり。
今日にハンスが図書館を訪れたのは
水槽に遮光布がかけられてから間もなくにヤグヤグが言った
この海の生態系についての資料を集めてほしい、との頼みの為だった。
普段の雑務から比べたなら、それは大分助手らしいと呼べる使いではあった。
しかし、ハンスにはそれがどうにも
彼の不在中、自身をあの水槽から遠ざける口実のように思えてならなかったのだ。”
フィオ「そう……考えてしまうのもわからなくはない。今では関係が変わってきていると入っても、まだまだだからね、と、そんなときに見つけた資料は」
フィーナ「資料じゃなかったね。だけれどこれがここにある、それが何処か運命めいて感じる」
フィオ「『人魚姫の物語』。何度かの邂逅を果たした『その生物』そして……」
フィーナ「まとめ。ここ数日の中心だった例の生物。前回はついに……って感じだったけど」
フィオ「こうなってくるとそれがもたらす変化はどっちに転がっていくのかって感じだよね」
フィーナ「『彼女』の状態も気になるし、ヤグヤグさんとの関係も。ハンスさんがこの後どうして行くのかも」
フィオ「傾倒していくことは避けられないだろうねぇ、バランスをとって……なんていえるのは外側の人間だからだ」
Pno568:フェルテウスさん
フィーナ「順調な探索。でも目的の主は遠く……」
フィオ「というか遠いのか近いのかすらわかってなさそうだよね」
フィーナ「気配の変化。字面から見るとよさそうだけれど、フェルテウスさんは心配しているみたい」
フィオ「弱っているって感じたらねぇ。でも力が全開だと他人に迷惑をかけそうな気もする……」
Pno600:マグノリアさん
“
昨晩飲んだ頭痛薬のお陰で今日は痛みも無くスッキリ。晴れやかな気分だ。
やはり初期症状の時点で薬は早めに飲むに限る。
突発的に症状が出るようなものも困るが、じわじわと症状が発生するのも厄介だ。
特に頭痛や腹痛は集中力を大きく削がれてしまう。不摂生な生活がたたってこの症状に悩まされる事も少なくない。
判ってはいるが、どうしても自分の好きな楽しい研究はやめられない…。”
フィーナ「頭痛薬は用法用量を守ってなるべく早く使おうね」
フィオ「痛み系は強いのもあるから常用しないように気をつけないといけないけれど、無理をして色んなことに問題が出てきたら本末転倒だからね」
フィーナ「研究中毒だねぇ……不摂生は将来的に問題が出てくるってケースが多いからね、大事なのは今の研究! ってなるのもわかんなくはないな」
フィオ「引きこもってないで外の刺激を受けるのがいいって時もあるけれど、やっぱり自分の世界を構築してそこで研究と向かい合う時間というのは必要なのだとおもうね」
フィーナ「でもデートのお誘いは乗ってあげても、うん」
フィオ「実質研究対象がそこらじゅうにあるようなものだものね、でも睡眠時間は本当に大事、これからは痛みが出ない程度に眠ろうね」
フィーナ「意識するのが今夜だけじゃないといいんだけど、中々難しいかなー」
Pno640:エリィさん
アトランドへと向かうエリィさん、この海域のことでここ最近考えていたこととは……
“
ようやくのアトランド。
わくわくしながら周囲を探索する。
出てくる魔物は、鎧や剣などの無機物や、イワシがたくさん出てくるらしい。
イワシがイワシを呼んで、イワシフィーバーのようだとか。
「……イワシ。しとめれば、おいしく食べられそうですね…」
最近のエリュニウスはこればっかりである。”
フィオ「イワシにげて、めっちゃ逃げて」
フィーナ「弱肉強食なんだよね……」
フィオ「結構強いらしいイワシ。魚に弱いなのに」
フィーナ「ラティスさんまで食い気出してる……これは大変なことになりますよ」
フィオ「ま、まぁイワシパーティもたまには良いんじゃない探索って目的を忘れなければ」
“「オイルサーディンにしておけば、日持ちもするしパスタやご飯にもあうから良いわね。
…よし、皆、がんばってイワシを獲るわよ!」
「「おー!!」」
もはや地域探索ではない意気込みをかかげ、エリュニウスたちはアトランドを進んでいく……。”
フィーナ「その後、イワシ達の姿を見たものは、誰も居なかった……」
Pno664:ボイジャーさん
前回教授からの手紙で、ケプラーさんの同行をお願いされたボイジャーさんだったが、ケプラーさんの根回しがあったことを確認して激怒し厳しい言葉を吐く。
ショックを受けたケプラーさんは謝罪と別れの言葉を告げ部屋を出て行ってしまう。にゃーさんに諭され、ケプラーさんの後を追ったボイジャーさんだったが……
フィオ「あれ、日記……書いてるね」
フィーナ「どうやら見つからなかったみたいだ、あまり時間はかけられなかったとのことだけど」
“○月×日 晴れ
結局何処を捜してもケプラーは見つからない。明日の探索もあるからこんな早い時間に捜索を切り上げなきゃどうしようもなかったが、ったくあの馬鹿、何処に行ったんだか。
とりあえず明日も探索から帰って来次第探しに行く事にする。どこまで世話を焼かせるんだ。
でも、思えばこんなにケプラーが素直に甘えて来ていたなんて、久方ぶりな気がする。そりゃああいつが10歳行くか行かないか位までは何も考えずにあいつもてこてこ後を付いて来て俺に甘えて来てたけど、歳の離れた兄弟なんて何処もそんなもんなんだろうか、大きくなったら変な距離が出来て、一緒にどっか行ったりも無くなった。親父とお袋が死んで以降は、とんでもなく俺とケプラーの間柄はぎすぎすしていたし、平気で「父さんと母さんの代わりに兄さんが死ねばよかった」とまで言われていたのが、今考えりゃ嘘みたいだ。あの時、あいつの傷心旅行のつもりのアイワヒ滞在で、ユージーンのじーさんに何を言われたのかは俺は知る由もないが、あれからじわじわとケプラーの俺に対する罵倒も治まってきたわけで。
実際今こうやって落ち着いて考えれば、多分ケプラーの奴にとっちゃこのテリメイン探索は、ガキの頃の様に何も念頭に置かずに俺の後をついて歩ける最後のチャンスだったのかもしれない。あいつなりに考えて、まだ親父とお袋の事故を引き摺ってるこんな兄弟関係はどうにかしなきゃいけないって思って、今回俺について回って来ていたんだとしたら。表現は多少変・・・というか問題だらけの表現方法だけど、あれもあいつなりの四苦八苦の末の行動なんだとしたら。
・・・ただ、どっちにしろ、本音を言うと、あいつには俺とは別の道を行って成功してほしい。海洋学の分野で考古学が役に立つ場面なんて、そうそうありゃしないんだ。ただでさえこの俺より地頭は良いんだから、あいつにはあいつの分野で大成してほしい。
これでも考えてるつもりなんだけどなあ。どうにも仕事と女関係以外でこういう頭を使うのは苦手だ。寝よう。”
フィオ「冷静になって見えてきたこと、いろいろあるね」
フィーナ「ケプラーさんにも考えがあるのかもって考えられたのなら、再会出来た時に少しはきちんと話せそうだよね」
フィオ「事故……を引きずるのは仕方のないこと何だけど、どこかで区切りをつけないと先には進めないのかもしれない」
フィーナ「この前訓練のときに(フィジカル的な意味で)ボコボコにされたのも、ちょっと変な表現だと思えば可愛いものだよね」
フィオ「そ、それはどうだろう」
フィーナ「まぁ、とにかく、ボイジャーさん自身の気持ちもしっかりとあるみたいだし、何とかそれらをすり合わせて……」
フィオ「っと電話? 見つかった?」
フィーナ「クラブに居るみたいだね。寝る時間は過ぎちゃったけど、当然お迎えに……行って見たら」
“
マダム
「お久しぶりですわね、ボイジャーさん。
弟さん、あそこに。」
ボイジャー
「悪いなマダム、てかなんでケプラーがこんなとこに?」
マダム
「さあ。大方貴方が残していったゆらぎに引き寄せられたのでしょう。
人間は時々不思議なゆらぎで共鳴するものですわ。私には分かりませんけれども。」
苦笑の体のマダムが指さす方向・・・バーカウンターの隅で、
カウンターに突っ伏しているケプラーが居た。
ボイジャー
「おいこら馬鹿弟。ケプラー。なーに呑気に酔っ払ってんだ。帰るぞ。」
”
フィオ「あらら、でも知り合いのお店でよかったね」
フィーナ「嘘かい! 酔い潰れたという連絡だたけど、それも仕組まれていたみたい」
フィオ「マダムもやり手だなぁ、カンパリ一杯って対したことない量なんだね」
フィーナ「お酒のことはどうにもねぇ、私は全然ダメだし、フィオは未成年だし」
フィオ「とりあえずケプラーさんは一緒に飲もうとのことで、帰ろうとするボイジャーさんだけど、マダムにお願いされてしぶしぶすわって」
フィーナ「日記には書いたけど、言葉になるものは未だなくて、それならとケプラーさんが話し始め……」
“
ケプラー
「兄さんが喋らないなら、俺が喋りますね。」
ケプラー
「楽しかったですよ、テリメイン。夢だったんです、兄さんのお手伝いするの。
少しでもそれが叶ったんなら、もうこれ以上贅沢言うのもあれですしね。バチが当たります。」
ボイジャー
「・・・なあ。おめー、まだ俺の事恨んでんじゃねえの。」
ケプラー
「・・・うーん。どうなんだろう。
あのときの事思い出したら、頭に来るのは未だにありますよ。
でも、そんな事いつまでもぐだぐだ言ってたって、しょうがないじゃないですか。」
ボイジャー
「・・・。」
ケプラー
「俺もおとなにならなきゃ、って、だから、これが最後だと思って、わがまま言おうとしました。
でもダメですね。兄さんの迷惑考えたら、そんなわがまま言っちゃいけなかった事に、早く気がつくべきだったんです。」
ボイジャー
「・・・ガキが大人ぶってんじゃねえよ、馬鹿か。」
ケプラー
「・・・ガキですかね?」
ボイジャー
「ガキ!めっちゃガキ!
なーにが迷惑だ。ガキはガキらしくもうちょい素直に我が儘言ってろ。」
ボイジャーが無愛想に差し返したグラスを受け取って、
マダムはモヒートをカウンターに置いた。
ケプラー
「じゃあ、ガキらしく、もうちょい、此処でわがまま言いますね。」
ボイジャー
「勝手にしろ。」
ケプラー
「ふふ、んふふっ。」
ボイジャー
「なーに笑ってんだ、馬鹿。俺と真面目に飲もうなんて百年早えんだよ。」
”
フィオ「……ふぅ、何とかなったようでよかったね」
フィーナ「とりあえずの決着はついた、せめてここに居る間ぐらいは、こういう関係でもいいのかもしれない
いつか、自分の道を見つけないといけないんだけどね」
フィオ「まとめ!
今回は出て行っちゃったケプラーさんを追いかけてーってところからだったね」
フィーナ「それなりに時間をかけて探したんだろうけれど、一回部屋に戻ったときににゃーさんになんか言われたのかなぁとか考えたり」
フィオ「問題を抱えた兄弟、まぁ兄弟に限らないんだけど、家族、友人、関係。そういうのを正常な方向へ戻そうとするには、大きな力が要るんだなぁって」
フィーナ「何より時間が必要なんだよね、それと今回はケプラーさんの『最後のわがまま』かな」
フィオ「そういえばケプラーさんがマダムのところに来れたのは、やっぱり偶然なんだろうね、『ゆらぎ』のおかげだともいえるけど」
フィーナ「他のところだったら、連絡が届かなかったかもしれなかったし、あのタイミングじゃなければ、もっともつれてた可能性もあった。もちろん、お話がうまくいったのは、衝突からすこし時間がたって、お互いがそれなりに整理できた結果だとは思うけどね」
フィオ「これで正式に同行できることになったね、修行と称してボコボコにされることもまたあるかもしれないし、異常な愛情にボイジャーさんの胃がキリキリするかもしれないけど」
フィーナ「そのときは美味しいお酒でも飲んで、リセットすればいいんじゃないかな」
Pno742:ユーノさん
フィオ「ガーゴイルを下して見えてきたアトランドの景色。それがユーノさんには眩しく見えたみたい」
“少女の世界は島であった。
様々な魔法の力による接続も混濁している為、孤島ではなく、一種のターミナルのようなものであったが。
その島の役目は布の採掘であり、それ以上は要求されておらず、故に文明レベルはあまり発展していない。
少女はそれが嫌で、島を飛び出して、今。”
フィーナ「物理的に眩しいんじゃなくて、自分の居た世界と比べて、その未知がそういう風に見せたのかも」
フィオ「アトランドで待ち受けるものはなんなのだろうね、少なくとも安定からは遠いだろうけれど、それもまた楽しめる一因になりそう」
Pno781:ジュラエさん
フィーナ「本日は異常な……ナシ?」
フィオ「\バカンス/」
フィーナ「くつろいでるね……パフェがでかい」
フィオ「こういうところで襲われても足蹴でなんとかしそう」
Pno794:シャウラさん
“暗殺者マリル
シャウラ
「月の神(セレネ)の矢より速く、竜すら涜す毒の刃。
死毒の暗殺者マリル…其の刃の迅きを、神涜の毒を我が鏃に」
”
フィーナ「今回は英雄譚の紹介だね。暗殺者ってことだけど」
フィオ「歌う人が限られているし、かなりマイナーだって」
フィーナ「シャウラさんが言ってるように騎士が歌うような内容じゃないよね、後ろ暗いところがあるなら別かもしれないけど」
フィオ「場面によっては必要なところも出てきそうだけれどね、でも毒はやっぱり『らしく』はないか」
フィーナ「伝わっているお話を聞く限りだと、暗殺者よりももっとふさわしい呼び名がありそうな感じもするけれど」
フィオ「まぁ英雄譚だからね、それだけじゃない要素も持ち合わせてるんじゃない?」
Pno828:すずさん
フィーナ「海は広い、でもお宝が落ちているとは限らないのだァー!」
フィオ「見てわかるほどのお宝だと逆に怪しそうだけどね、なんかもっと地味ーにヤバイのが落ちてそう」
Pno838:牡丹さん
フィオ「アトランドへとたどり着いた牡丹さん、不思議な景色に色々考えるけれど」
フィーナ「建物が最初はどちらにあったのかはまだまだわからない段階だよね。牡丹さんは自分達の故郷を考えると、海の中に生きている人がいても不思議ではないと」
フィオ「まぁそれでもちゃんと想像するのは難しいよね、ありえるかも……。ってぐらいだとおもうし」
フィーナ「この世界にこんな場所があったとは!」
フィオ「フィーナ。ここは異世界だよ」
Pno917:ロズさん
入念な準備をして、テリメインへと降り立ったはずのロズさん。だけれど何故か装備品はみあたらず、あられもない姿に。
それを助けもせず撮影していたマダラさんを沈めた後で、現地の冒険者と思しき男女に衣服を譲り受ける。
一歩目から暗雲立ち込める冒険の行方は……
フィーナ「あ、マダラさん戻ってきたね。いきなり海に放り込まれてふてくされてるけど」
フィオ「反省が足りないようだね」
フィーナ「構えるのはやめときなさい。仕事の都合もあるだろし、カメラが水没したのはとてもナイスな展開だけど」
フィオ「そうそう、ロズさんも言ってるけど装備品どこにいっちゃったんだろ」
フィーナ「いくつか考えられる要因はあるみたい……。あ、替えの服あるんだ」
“「考えられる状況は何個かあるんですが・・・まず服をどうぞ」
カメラを放り出すと
ポシェットから着替え用に預けておいた服を取り出す。
「あ。ありがと。ってか、これ持ってきてたんだからすぐ渡しなさいよ!」
「いやぁ、サービスショットは確保しておきたいじゃないですか?
海辺ですし・・・使い勝手の良さそうな構図でしたし?」
だからカメラごと海に放り込んだのよ。
先輩冒険者さんから借りたシャツとパレオは使わせてもらおう。
また会えるかもしれないし・・・
目印になるかも。”
フィオ「やっぱり確信犯じゃない」
フィーナ「……これは近いうちにまた放り込まれても不思議じゃないかな」
フィオ「で、借り物はとりあえずそのまま使わせてもらう、と。確かに再会出来た時の目印にはなるかもね」
フィーナ「素っ裸の女性とか中々忘れないかも……とおもったけど、わりとよくあるんだっけそういうこと」
フィオ「それで、装備品の行方ですが」
フィーナ「すまんな、魔法のことはさっぱりなんだ。というロズさん」
フィオ「(世界の境界線に)引っかかっちまった!」
フィーナ「装備が多すぎたのかのかな、『盛りすぎ』とのことだったけど」
フィオ「時間をかけて転送できるならそっちのほうがいいんじゃないかなーどのぐらいかかるかはわからないから、それこそ人の人生数回レベルとかだったら無理な話だけど」
フィーナ「諦めちゃったらどうするのかをロズさんは尋ねて……うん、いいアイディアがあるわけじゃなさそうだ」
フィオ「でも、とりあえず現状から整理して先ほどの先輩方の後を追うことに。町があればという希望的観測」
フィーナ「その勘でロズさんの怒りラインも察せられればいいんだけどね」
フィオ「まとめ! 転送トラブルから衣服消滅、シャッターチャンスからのマダラさんを海へシューッ!! した後で服を貸してもらって……今回はそこからどうするかなーってお話」
フィーナ「トラブルの原因は装備品の盛りすぎだろうってことで、とりあえずは本部からの指示待ち、だけどできる事はやっておくみたいだね」
フィオ「とりあえず完全に詰んだわけじゃないし、マダラさんのナビゲートを信用して先に進むしかない、のかな」
フィーナ「多分この後、探索協会に向かうことになるのかな? 貸してくれた人たちとの再会はあるのだろうか」
Pno924:ダルムズさん
インドのゴールデンウィークについて
フィオ「……あれ? これって何のお話だっけ?」
フィーナ「インドは大型連休がないって話。4連休以上がないんだって、大変だねー」
フィオ「あ、いや」
フィーナ「まぁ日本でも職種によっては、連休なんて夢デスヨって職もあるからねぇ、生活に密着しているようなのは特にー」
フィオ「まぁ、そうだね」
フィーナ「ちなみにダルムズさんは毎日が休日、エブリディがホリディだそうで……うーむこれは勤勉なインド人にはあるまじき行為。あとアイコンがなんか腹立たしいから、エビ剥き工場に放り込もうそうしよう」
Pno956:結馬さん
フィオ「対人戦での敗北から色々と取り入れて改善していこうとしている結馬さん」
フィーナ「そういうのって大事だよね、原生生物とは違った学びがここにはある」
フィオ「自分がやろうとしていたスタイルを先にやっている人と当たったみたいだけど、わりとそういうことってあるのかな?」
フィーナ「ぴったり同じってことはないと思うんだけど、よくある話だと思うよ、私もそういう経験あるし……。
めちゃくちゃ珍しい型とかじゃなければ、方向性が似通っていたってことは誰しもが思い当たることじゃないかな」
フィオ「親父さんに出した手紙はまだ返事がなくて、ちょっと変な内容だったから返答に困ってるんじゃない?」
フィーナ「さぁねぇ、ちょっと心配しているみたいだから、絆さんの手紙でお返事が来ればいいんだけどね」
フィオ「その絆さんがはじめたパフェ屋はわりと順調だそうで……家族に頼るってのは悪いことじゃあないと思うよー」
フィーナ「いや、弟のスネ齧りはそのいろいろ威厳とかね、兄の矜持とかがね」
フィオ「結馬さんたちもアトランド。どうやら属性相性がばっちりみたい」
フィーナ「時限爆弾も設置してきっちり攻略していきたいね」
フィオ「ツナウィッチ……なんだからそりゃマグロなんじゃないかな?」
フィーナ「魔女がマグロと書くと確かに何言ってんだってなるような不思議」
Pno962:素子さん
フィオ「何かが引っかかっている様子の素子さん、形が変わっているってなんのこと?」
“形が変わっている・・・とは、素子が豚魚の試験を受けた際に
たまたま目についたあの棒切れである。
拾った当初はちょっと捻じれているだけの1.2メートルくらいの枝のようなものだった。
しかし今は1.5メートルくらいの長さになり、捻じれているのと同時に倍くらいに太くなり、
片手で握るのが少し難しくなるほどになっていた。
しかも上部が特に肥大している分重みもある。
遠心力を付けるにはもってこいという感じである。”
フィーナ「……成長してる? 成長する武器とかそういうのなのかな」
フィオ「たまたま目に付いたってそんな特別そうなものじゃないんだけどね」
フィーナ「でも、今は『普通の人間』であるはずの素子さんが、色んな術のようなものを行使できているのは、今は大杖になったこれのおかげらしいけど」
フィオ「うーん確かに『普通の人間』であるなら、そういう色んな術とか使えるのはおかしいものね」
フィーナ「身長と筋肉が常人以上でも『普通の人間』なんだからね。……普通とは」
フィオ「しーっ、しーっ」
フィーナ「杖がこんなに都合よく自分の冒険を助けている。ということに一縷の不安を抱く素子さん、なにやら埒外の力が宿っていて、それに頼り続けるのはどうなのかな、と」
フィオ「でも、それに頼らざるを得ない自分に情けなさを感じているみたいだね。まぁある程度は『普通の人間』がアクシデントでこんな状況に巻き込まれているのだから仕方がないとも言えるけど」
フィーナ「まとめ。
あの日に拾った棒切れが変化し続けていることを気にかける素子さん。
現状これに頼らなければならないけれど、異常な力がこの武器にあるのだとしたら、持ち続けることはよくないのじゃないかと悩む」
フィオ「素子さん自身に秘められた力が開花したってことはないのかな?」
フィーナ「そういうことがないともいえないけれど、なんともね。
冗談めかして言ったけれど『普通の人間』、つまりは戦闘も魔法も日常にはなかった人なのだからそういうものが隠れているとも考えにくい。
テリメインが何らかの作用をもたらしたのかも、ってことはあるかもしれないけど」
Pno964:アズテアさん
今回の葬儀はミイラ葬。ミイラ(干物)として仕上げたポチさんを用意したものの、葬る場所が間違っていた失敗。
葬る場所、『玄室』への候補へと向かうが、そこに至るまでの罠によって多くのポチさんが犠牲になったりしながら、玄室への道を確保する。そして再び干物を作っての再挑戦
フィオ「で、早速干されてるー!」
フィーナ「葬儀のためだ、致し方なし……」
フィオ「ということで、干物(ミイラ)になったポチさんを抱えて、いざ再挑戦と」
フィーナ「もごもごー(包帯でしゃべれない」
フィオ「だけれどここで一つ問題がポチさんがこのザマなのでアズテアさんが海に潜れない」
フィーナ「大丈夫心配ない、こんなこともあろうかとっ!」
“
「モゴモゴモゴゴンガ」
「で、こうしてポチは無事に包帯で包めましたけど……
私、どうやって海に潜ればいいんですかね……?」
「それに関しては、すでにこちらで用意している」
「おう、ドーンさんにピッタリのやつ、用意しておいたぜ!」”
フィオ「チラァ……ワタシモミタコトアルナコレー」
フィーナ「ヤダーッ!!!
でもまぁ、有効性は実証済みだし……?」
フィオ「『ドーンさんにピッタリのやつ』とか言い出したから嫌な予感はしてた」
フィーナ「木箱は続くよ、何処までも。というわけでもなくダブル木箱でトレイントレイン」
フィオ「効果的な手段を恥をとりおいて、取れるのもまた大人の嗜みだよ、たぶん」
フィーナ「つまり何歳になっても電車ごっこしてもいいってことか」
フィオ「ポチさんモゴモゴ」
フィーナ「先生それを理解する。通じるのか……」
フィオ「前回の『渡し賃』の人だね。最後の罠を突破したときに偶然弔えた人
カニ将軍の部下だったんだ」
フィーナ「スプラトゥ……」
フィオ「オクトパスだっていってんだろ!!」
“
「冥銭というものは、旅人や軍兵などが
『いつ死んでも大丈夫なように』持ち歩く側面があったからな。
兵士の持つ文化としては一般的なのかもしれない」
「モゴモゴモゴゴゴゴ」
「そうだな、どちらかと言えばそちらの方が気がかりだ」
「プリーズ共通語……」
「ユリウシュくん、例の荷物は持ってきてくれたかね?」
「おう、デカかったんで、余裕の有りそうなドーンさんの方に積ませてもらったぜ」”
フィーナ「という先生の解説もいただいて……」
フィオ「なんかまたモゴモゴ言ってる」
フィーナ「ここではテリメインノ言葉で話せ」
フィオ「返事で予想がつかないこともないけれど……でアズテアさんのとこに積まれてるのって」
フィーナ「金ぴかカツオ型棺桶」
フィオ「ユリウシュさんが一晩で……かはわからないけれど彫ってくれました。見事な手腕」
フィーナ「『人形棺』ってツタンなんちゃらみたいなイメージでいいのかなたぶん」
フィオ「これにポチさんをいれて、さらに玄室の棺にINすればオッケーと」
フィーナ「楽勝だな!」
フィオ「ここまで大変だったからねぇ、だけれどさっき『気がかり』といったこと。玄室に『先客』が居なかったことについて」
フィーナ「お墓だものねぇ、罠もたくさんあったわけだし……」
フィオ「ただもう目的地は目の前。ここまできてやらないって選択肢はない」
フィーナ「ということで天丼。もしくは様式美」
フィオ「いつもどおりにポチさんが弔われて飛び出してきた魂も回収。問題ないみたいだね。
で……もちろん蘇ってきたポチさんも回収して」
フィーナ「よーし。かえんべー。
さらば木箱。君の勇姿は忘れないよ」
フィオ「でも……」
“ポチが復活したおかげで、木箱を抜け出してポチに捕まれます。
ああ良かった、汽車ごっこから解放された……。
玄室から順番に遺跡の入口までの道を遡っていくと、
途中、最後尾を泳いでいるポチのスピードが明らかに減速し始めました。”
フィーナ「不意に訪れた異変。私もこれを見たな……」
フィオ「暴走するような推進力は感情の奔流でもあったのか、あふれ出す血と、悲鳴のような叫び。
そのまま棺近くのオブジェへと突撃するポチさん」
フィーナ「アズテアさんも気絶しちゃったし、なんか崩れる音が聞こえていたから状況はさらに悪くなりそう……」
フィオ「次回予告。閉じ込められちゃったみたい。海中にこの状態はかなり悪い状況といえるけれど……何らかの助けが必要だろうね」
フィーナ「まとめ。ミイラ葬も終盤戦、一歩一歩準備を進めて後は収めるだけかという状況になって」
フィオ「二個目の木箱、そしてトレイン!」
フィーナ「気にかかることがあったけれど、それもとりあえず脇において……成功したように見えたんだけどね」
フィオ「罠を解除するときから現れていた女性のような台詞の人とか、『先客』が居なかった玄室とか、『引き離さないで』という叫びとか」
フィーナ「幾つか推理できそうな状況はあるけれども、それよりはまず二人が何とか状況を脱しなければならないってことになるのかな」
フィオ「猛スピードで離脱しちゃったからねぇ、先生とユリウシュさんの助けが期待できないわけじゃないけれど、崩れているってことも考えると中々難しいのかなって」
Pno976:アファイブさん
魔導センサーとアファイブさん
フィーナ「ナウいアイテムをしっかりとチェックしているアファイブさんエライエライ」
フィオ「魔力を完治してお知らせしてくれるアイテムみたいだね」
フィーナ「魔力系等のトラップとか、視界の外からの魔力攻撃とかの対策によさそうだ」
フィオ「だけれども色々問題があるみたいで、まずは知らせてくれないときがあるとか。
わりと問題だよね」
フィーナ「知らせてくれるのになれちゃうと、逆に不意をうたれる形になるかもしれないね。だけれど最初から知らせないこともあるって思っておけば、心構え的には問題ないかも?」
フィオ「あとは音が五月蝿いってこと。知らせるアイテムとしてはいいことだと思うけれど」
“極めつけは、わたしという存在の殆どが魔力で出来ているため
しょっちゅう勘違いを起こすことがあります”
フィーナ「あーこれはまいるね。ナマコちゃんも一緒にジャンプしちゃうぐらい」
フィオ「私も引っかかりそうだなぁ。誤反応は確かに困る……」
フィーナ「のでチョップぅ」
フィオ「セ、センサー!」
フィーナ「多分角度は45度聖なる力半端ないって」
フィオ「これでもうおしらせできないんじゃ……」
フィーナ「睡眠は大事だから仕方ないね。
さて、これを導入したことによってこれまで使っていたビート板はお土産候補になったみたい、盾みたいに構えたりもできたんだけどねぇ」
フィオ「見た目で言えば二つ同時に装備できそうなものなんだけれど、反発でも起こすのかな」
フィーナ「何はともあれ最新のものをチェックしておくってのは大事なことだよね、自分が本当に必要とするものっていつ現れるかわからないし」
フィオ「まとめ、『魔導センサー』を色々試していたアファイブさん」
フィーナ「わりと便利そう、でもデメリットが多かったのでチョップぅ!」
フィオ「機能は削ぎ落とされました、でもセンサーはセンサーです」
フィーナ「神サマへのお土産がふえたよ、やったね神サマ」
Pno1020:イルヤさん
“アトランドへ着いたイルヤたちはちょっとひと休み。
ある日の出来事。周りではバニー服を着ることがちょっとしたブームになっていました。
カジノ船が現れた影響なのか、4月はイースターがあるからなのか、その両方だったのかもしれません。
”
フィオ「ヒャッハーウサギちゃん祭りだぁ!」
フィーナ「軽率にバニーガールの衣装着せていくの本当にいいと思います」
フィオ「ユリウシュさんが出演してた。うん、その位置はなかなか刺激が強い」
フィーナ「ん、今なんでもするって……。言ってた、言ってたよ」
フィオ「まぁ女性のほうがそういう風な考えがあってもおかしくはないよね、まったくもって」
フィーナ「ラビさんにちゃんと探索してるのかと疑われるイルヤさん。しかたないじゃないバニーな日もあるんだから! ラビさんだってこの前見てたじゃない!」
フィオ「まるで探索をおろそかにしているような言い方はどうなのさ。ちゃんと探索もやったうえでのバニーちゃんだよ、もちろん」
Pno1033:ラティスさん
探索のほうはほぼ順調に進み、アトランドへと歩を進めているラティスさん。
だけれど、現在まで引きずる多くの問題の根源ともいえる敵『アクウィット』が想定外の形で姿を現し、そちらへの対応もしなければならない事態に。
そんななか頼りになる部下であり、『アクウィット』を弟の仇とするライラックさんの様子がおかしいと……
フィーナ「ライラックさんの顔色が悪い……か、確かに心配だあんなこともあったし」
フィオ「ボスとの電話の後だったからとヘイゼルさんが疑うのは上司のセクハラ。
うーんこれは許されざるよ」
フィーナ「ラティスさんもないといいつつ、もしそうだった場合の恐ろしさを語って……
実力行使って文字どおりなんだろうな」
フィオ「会社における金融部門とかいう魔境
さよならボス……」
フィーナ「いや、多分してないんだけどね、たぶん」
フィオ「探索のほうは最近買い物が多いラティスさん。もちろん趣味的なものじゃなくて」
フィーナ「趣味的なものじゃないんだ」
フィオ「そりゃそうよ。『スキルストーンを制御しやすくなるスキルストーン』が手に入ったから色々やってるみたい」
フィーナ「手持ち全てに影響を与えられる上位のスキルストーンってことかな? そんな珍しいものをどこで」
フィオ「お店売りだよ」
フィーナ「おい、前線の露店どうなってんだ」
フィオ「あと貝殻を買い集めていた人たちが阿鼻叫喚の事態に陥ったとかなんとか、もしかしてランクのこととかかなぁ」
フィーナ「残念……ここは海の底……通用しない……消費者保護……甘い考え……」
フィオ「まぁそんな悲哀を横目に見つつ探索を進めなくちゃいけないけど、無理をするのはなぁと」
フィーナ「命に関わるからね、ライラックさんの体調も優れないし……。別案件のほうがその影響を強く受けそうだけれども
そっちの準備はどうなんだろ」
フィオ「……戦争かな?」
フィーナ「戦争じゃ……」
Pno1045:メルエットさん
あの日から時間が流れ。調査と一緒に過ごすことによって見出してきた幾つかの発見。
ユーリスさんは一つの仮説を立ててその調査を依頼していた。果たしてその結果は
“鉱石商の少年が、この大きな交易都市にやってきてから懇意にしている交易組合事務所。
これまでは、いつも訪れるときは単身でしたが、今日は金髪碧眼の少女が一緒でした。
使い物にならないボロボロの白いドレスを脱ぎ捨て、今日はしっかりと新しい洋服に着替えていました。
新しくないのは一つだけ、少年が最初にあげたぶかぶかのダッフルコートを大事そうに着込んでいました。
昨日の夜、少年が護身用に持ち歩いている医療用メスでただ切りそろえられただけだった金髪は、
さっき美容室で、かわいらしい、ふわふわのミディアムショートに仕立ててもらったばかりです。”
フィオ「おぉちゃんとおめかしして、外に出てこれたね、良かった良かった」
フィーナ「ダッフルコート着てるのもポイント高いね可愛いねー」
フィオ「そうか、もうマッシュルームはいないんやな……!」
フィーナ「美容室ってスゲー」
フィオ「さて、やってきました『交易組合事務所』いかにも鉱山男という感じの人がお出迎えです」
フィーナ「怖がってるのか、緊張してるのか、どちらかというと後者かな」
フィオ「まぁずっと部屋にいたし、その前は……あぁだったしね」
フィーナ「さて調査してもらっていた話なんだけれど、進展はありそうだね」
“「なるほど、北方……ですか」
「おぅよ、ソイツがここに来る前に立ち寄った街で、そんな話を聴いたそうでな」
「過去に採掘されていた、確かな証拠があったということですね?」
「証拠があるかどうかはわからねぇ。それに採掘されてたとも限らねぇ。
ただ、その街の言い伝えで、過去に因縁があったらしい、そんな程度の話だ」
「……」
「さすがに行政よりさらに上の階級、特に王侯貴族ともなるとな……。
俺たちが首を突っ込んでいい領域じゃねぇし、実際簡単に手はだせねぇ……。
お前さんには、貿易港のルートに融通利いてもらった恩はあるが、俺たちの調査能力じゃこれが限界だ」
「……そうですか」”
フィオ「片目の石……からだろうねとても綺麗なアクアマリン。その出所をという感じかな」
フィーナ「確たる証拠はないし、どちらかというとちょっと弱い話に聞こえなくも無い。だけれど……伝説とか言い伝えってのは軽視すべきものじゃないよね」
フィオ「垣間見えるマナーの良さから身分が高いんじゃないという推測をしていたけれど、やっぱりそのあたりになるのかなー」
フィーナ「となってくると確かに手を出すことがはばかられる。危ないからね、いろんないみで」
フィオ「でも限界までやってくれたんだし仕方のないことだよね、ここから先は……ユーリスさんに、いや二人にゆだねられた」
フィーナ「考え込むユーリスさん。そして問いかける」
“「貴女は、おうちで絵本をよんでいるのと、おそとを歩くのと、どっちが好きですか?」”
フィオ「言ってはみたものの、それは危険な旅路。ただこのままでも埒が明かないのではないかというのも事実で」
フィーナ「答えは『外』……決まったね」
フィオ「おっちゃんのからかいを華麗にスルー。地図くれ地図」
フィーナ「おっちゃんかはわからないけど、サンキュー地図」
フィオ「大きな地図をチェックするユーリスさん、比較的安全な道を通るといっても、もちろん危険は伴うし、ルートの吟味は重要だね」
フィーナ「で、そんなところへ近寄ってきて、テーブルとユーリスさんの間から顔を出して……うむ。守護らねば……」
“「貴女も……ああ、そうですね、いつまでも『貴女』と呼ぶのもアレですね……」
すると少年は、腕組みをしながら、しばらく考え込む仕草をしました。そして……。
「メル……メルル、いえ……メルエット。……メルエットはどうでしょう?
今日から、貴女のお名前は『メルエット』です」
そう名付けられた金髪の少女は、人差し指で自分の顔を指して『わたしのこと?』といった表情を浮かべた。
「そうです。メルエット……私の国の言葉で『輝きの海』という意味の言葉です。
光り輝くような、海色の宝石を左眼に宿した貴女を、とてもよく表した名前ですよ」
「……メルエット、……メルエット」
「そう、メルエット。貴女をご実家に送り届けるまで、よろしくお願いしますよ」
そう言って、少年は少女に手を差し伸べました。
少女は、おずおずといった様子で、その手を握り返したのでした。”
フィオ「ここにメルエットさんが誕生したのでした。と
そしてユーリスさんもはっきりと『実家に送り届ける』といったね」
フィーナ「いい覚悟だ。ここからの道は決して楽ではないけれど、せめてすこしでも幸運が寄ってきてくれますように」
フィオ「まとめ。
幾つかの要素から少女の失われた過去を推測していたユーリスさん。それを元に情報収集に勤しんでいたけれど」
フィーナ「どうやらこのあたりがここでの限界という感じ。進路は示された『北へ』」
フィオ「意思も確認して二人の旅路はここから幕が上がる。まだ冬が残る中、待ち受けるものとは」
フィーナ「そしてついに名前が。仮の名前とはいえ、命名するってかなりプレッシャーになると思うけれどいい名前をつけたね」
フィオ「改めてよろしくメルエットさん。あと……ユーリスさんはまたメルエットさんを洗うこともあるかもしれないし、散髪の技術も磨かないと、だね」
Pno1093:ヨビスエさん
フィーナ「『探したい何か』はあるけれど、その何かが全くわからないヨビスエさん。そんな風に冒険を続けているけれど、それは探索協会のほうも同じようなことなんじゃないかと」
フィオ「たしかに協会は具体的な何かを探せとは言ってきていないんだよね。未知を解き明かし続けるというのも素敵なものではあるけれど。実態はもやの中って感じ」
フィーナ「もしも探したいものが本当は何かわかっていて、『偉い人たち』が何か大事なことを伏せているとしたら、その本当に探したいものってなんなんだろうね?」
Pno1102:姉妹と仕立て屋さん
術式の命名を託されたレフさん。悩み悩んでひねり出した名前への評価は……
“三つ目の術式に命名、終了。
レフ
「・・・・・・・・・・・・」
瑪斗
「【Zephyros】って・・・なるほどねぇ、ここで英文字ねぇ♪」
妹
「うん、ちょっとカッコつけしちゃったんだね。わかるわかる。」
レフ
「何ですか! その悟ったような温かい目は! シス・・・妹お嬢様も笑えばいいじゃないですか! むしろ、そうしてくださった方が精神へのダメージは小さいです!!」”
フィオ「このざまである。
(なんとなくわかってはいたけれど)ちょっと反応がいぢめすぎなんじゃないですかねぇ」
フィーナ「ちょっと英文字にしただけじゃん! そういう時期は誰にでもあるじゃん!」
フィオ「そういえばフィーナも命名は……」
フィーナ「……」
フィオ「ちょっと! 黙って剣抜かないでよ、わるかったよ!
まぁ、(そういうのから)卒業して無くても別に問題は無いからね、うん」
フィーナ「卒業しても蒸し返されるんだよね……その心労、良くわかる」
フィオ「ワー。ミンナワカイナー」
フィーナ「女性の年齢については全力で気をつけるべき。でもお嫁にいけないってことは永久就職? それもわるくないんじゃ……」
フィオ「精神的にも肉体的にもいけなくさせられそうで怖いよ!」
Pno1154:ノーチェさん
フィーナ「日替わりの日誌、今日の記録者はイスィドーレさん。役職は海兵隊長だって。
言葉遣いからも姉さん気質って感じがひしひしと伝わってくるよね」
フィオ「口述自動筆記は便利だけれど、口から出る言葉って文字にすると、本当に伝えたいこととずれることがあるから、そのあたりは注意しないとね。
ゼノンさんもそういう事情が……多分無かったんだろうけど」
フィーナ「対ガーゴイルについてだね。生前に戦ったことがあるのなら、ある一定のやりやすさはあったかもしれないね」
フィオ「硬くて面倒って評価だけど。普通の銃弾と魔導銃の銃弾ってそんなに値段違うのかな?」
フィーナ「私の経験上だけど、買うと高いし、作るにしても材料自体が高いようだったよ。私自身はほとんど使わなかったけれど、メインで使っていた人たちはいっつもお金のこと気にしてた」
フィオ「フィーナもどっちかといえば斬り倒すほうだからね」
フィーナ「そしてテリメインでのガーゴイル戦は……」
“そうそう、ガーゴイルね。
フィロスが自信もって作り上げた艦首主砲が、全然効かなかったみたいでね。
むしろ片手間に作り上げた道具の方が威力が高かったっていうオチ。悲しいね。
けど、あれだけの数を殲滅できたのは大きいんじゃないかな。
ノーチェも少しづつ強くなってきたよ。フィロスは役に立ってるんだかわかんないけど”
フィオ「フィロスさんは泣いてもいい。
たまにあるよね、そんなに気合を入れないことで余計な力が抜けるのか、それなりーでやったやつの方が出来良くて……って
本命が全然ダメってのが辛いトコ」
フィーナ「追い討ちはやめたげてよぉ」
フィオ「進路は当然アトランド。地中海ってこんな感じだったっけ?」
フィーナ「ワインとかって海に沈んだものでも大丈夫なのかな? 『ノーチェさんが飲まないと』ということだけれど、そういう風にしないと飲めないんだね」
フィオ「お酒に強い弱いってのは生まれつきの問題であることもあるからねぇえ、中々難しい。
ノーチェさんに普通の事案と同じような考え方していいのかわからないけど」
フィーナ「ということでノーチェさんから見ても、惚れ惚れするようなところのあるイスィドーレさんでした」
フィオ「ショタが好き? ならもっと好きになりますよ、何せこの海はロリショタから長命(青天井)までより取り見取り!」
フィーナ「ショタの逆が長命なのは違うとも思うけど」
Pno1189:金獅子様さん
フィオ「揉め事に巻き込まれて日誌を書くのに手間取った金獅子様さん。その揉め事というのもガルガンボルグという海賊に襲われていたからだそうで」
フィーナ「実際の記録と、日記の表記がちょーっと印象違う気がするけど」
フィオ「ほしいのは強さだけだものね、とはいえ戦利品としてなんか豪華そうな箱が置いていかれていて」
フィーナ「強さ以外は求めてないけど、落としていったんならしかたないな、強さ以外は求めてないけど」
フィオ「で、どうやってあけるのか? 割る……ってのは流石にどうなの?
中身が危ないものだったら怖くない?」
フィーナ「まぁそれは開けても一緒だし。ただブン投げて割っちゃうと、中身も一緒に砕け散る可能性もあるから、スマートに割ろう」
フィオ「どんな割り方がスマートなんだ……」